下北沢特設テント 唐組・第64回公演『ビニールの城』

『ビニールの城』、これ、「女って何か」「他者って何か」っていう話かなあ。 昔々、「わからないこと」「不条理なこと」を皆、女のせいにしていた時代がありました(『イヴの総て』をご覧ください)。男たちがビニールの包装越しに出遭うビニ本の女、モモ(…

武蔵野市民文化会館小ホール 『Dreamers' Circus』

流木を4本、交差させて組んだ束(つか)に、電球が仕込まれてかがり火のようになっている大きい照明が四つ、舞台上にランダムに置かれ、舞台前面にはまつぼっくりが点々と落ちていて、一つは小さなかわいいケージに入っているし、上手(向かって右側)には小…

彩の国さいたま芸術劇場 『蜷の綿 ―Nina's Cotton―』

ニーナ(たち)の語る台詞。 「その世界の中には、あなたとわたししかいない」 きびしく、かっこいい。一人の人間の心の中の分割された一つ一つをニーナ(たち)と男(=壮年、内田健司)で象徴し、ニナガワの心、心象、出来事をそれぞれ描き、結び合わせる…

東急シアターオーブ 『ジーザス・クライスト=スーパースター in コンサート』

遠藤周作のキリストの評伝は、確かキリストの死で終わっていて、そこから先は「信仰」の問題である、と言ってたような。『ジーザス・クライスト=スーパースター』は「信仰」ではなく、一人の男の苦悩の生涯を扱っているから、同じ形を取っているのだろう。 …

渋谷CLUB QUATTRO  『ホットハウスフラワーズ』

hothouse flowers 1.plural of hothouse flower えっ温室育ちのお姫様たちって意味ー。と、改めて驚いたところでクアトロ着。 くだけた格好の、或いはすこしゴージャス風味の服で、アイルランド人の人々が会場のそこここに散見される。今日のライヴはアイ…

東京芸術劇場 プレイハウス NODA・MAP 第23回公演 『Q:A Night At The Kabuki』

市松人形のように切りそろえたおかっぱ頭をゆらゆらさせ、ひとつ、ふたつ広瀬すずが台詞を言うと、唇がまるで手塚治虫の描く王女様のそれのように光っている気がする。分厚い髪の間から覗くあごは白く、首筋は可憐に細い。まるで「乙女心」に服を着せたみた…

新国立劇場中劇場 『渦が森団地の眠れない子たち』

藤原竜也、声嗄れてるやん。と、心の温度が零下にまで下がる。声がちゃんと出てる、その声に表現力がある、芝居ってそこからじゃないの。例え野田秀樹だったとしても、声嗄らしてたら評価しない。今日は二階の最後列だったのでなおさらだ。声がしゃがれてい…

下北沢 駅前劇場 ふくふくや第20回公演 『こどものおばさん』

頭でっかちに考えると、「ああ、セックスワーカーね。」とクールなくせに、よく知りもしない人がフーゾクで働こうとすると、全力で止める。とても矛盾した、価値観の揺れてる自分。私を含めた世間の揺れを映して、この芝居の「トルコ嬢」の述懐も海の上の艀…

シアタークリエ 『ラブズ・レイバーズ・ロスト ~恋の骨折り損~』

心のチューニングがめっちゃ難しいミュージカルであった。シェークスピアの、何を思ったか王様と三人の学友、という多めの人数を踏襲し、そのうち二人は髪型が似て、その上途中でパジャマに着替える。混乱してしまう(見分けられない)展開だ。なぜか開演前…

明治座 『めんたいぴりり  未来永劫編』

い…逸材?博多華丸を見て仰天する。何よりもその体躯が、子供のころからちゃんとしたもの食べてましたって感じの、ノーブルな気配すらするガタイなのだ。よく分かっている衣装(松竹衣装)の人が、アイロンのかかったシャツと、サスペンダーの附いたズボンを…

赤坂ACTシアター A New Musical 『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』

板垣恭一がんばった。日本の演劇が「長らく目を背けてきた」貧困と性差別をテーマに脚本を書き、アメリカに曲の三分の一を発注し演出した。題材はアメリカの19世紀の紡績工場、差別されてきた女たちを主人公とする「現在進行形の」(問題は大して変わってな…

サンパール荒川大ホール 『桃月庵白酒・柳家三三 二人会』

台風の風がびゅうびゅう、近所の蕎麦屋さんは落語会に行く人たちで満員。サンパール荒川、緞帳は古いが座席もトイレも新しくてきれいだ。 幕が上がると、ほいほいほいと軽やかに桃月庵あられが現れてふくふくに盛り上がった黄色い座布団にすっと座る。 「い…

CINE QUINTO シネクイント 『人間失格 太宰治と3人の女たち』

マリアナ海溝。世界で最も深い海溝、深さ一万メートル越え。 太宰と海溝と何の関係があるかと聞かれれば、正直ないわけだけど、太宰を扱うならばマリアナ海溝チャレンジャー海淵くらいの深さに、「傑作への渇望」がないとだめじゃない?この映画で唯一それを…

新宿武蔵野館 『ある船頭の話』

ふーん。オダギリジョー、一撃で日本映画の「なあなあの背骨」折ったね。そのことでオダギリジョーが何としてもこの映画を撮りたかったのが何故か、わかる。撮影クリストファー・ドイル、衣装ワダエミ、音楽ティグラン・ハマシアン。村上虹郎、川島鈴遥の若…

紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYA 井上ひさしメモリアル10こまつ座第129回公演 『日の浦姫物語』

1978年、『日の浦姫物語』。杉村春子が「わが子よぉ」というのを見て、「泣いた」と友達にウソを言いました。その当時、「泣けない」「無感動」ってことが自分の中で大きなテーマだったのだ。世界は私と関係なかった。こどもだもん。「近親相姦」という仕掛…

浅草見番 四季の萬会

浅草見番。畳敷きの変形の広間に、座布団が隙間なく並べられ、ひとつひとつに少し秋っぽい半そでの服の観客が座る。皆ぱたぱたとパンフレットや扇子で顔を扇いでいて、後ろから見たその光景は、明治っから変わらないよねー。と言ってしまいそうなくらいだ。…

世田谷パブリックシアター 『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』

主題の短い、展開の多い、不安なヴァイオリンのソロが長く流れ、アナウンスの後、グラナダTVの「シャーロック・ホームズ」のテーマが聴こえる。あ、あれかー。考証に厳しく、女たちの装身具がリアルで、紅茶ポットまですてきな奴。どんなにチャンネル変えて…

日本橋TOHO 『引っ越し大名』

マンガっぽい演技、について考える。一瞬で表情が全然変わる、間が重視され大仰になるあれ。ポップでシュールな芝居に適ってる。時代劇って、戦前のものからもう「現代劇」なので、「時代劇に適わない」ってことは言わない。ただこの『引っ越し大名』には、…

東京芸術劇場 シアターイースト DULL-COLORED POP 福島三部作一挙上演 第一部『1961年:夜に昇る太陽』第二部『1986年:メビウスの輪』第三部『2011年:語られたがる言葉たち』 

「いささかの不安があれば、いくら会社の方針とは言え、肉親を失った私は会社には従わない。何も東電しか勤め先のないわけではないから東電を辞めてもいい」 常磐線の中で、福島双葉町の大学生、穂積家の長男孝(内田倭史)と知り合った謎の男(佐伯=阿岐之…

京都芸術センター 地点『三人姉妹』京都公演

「きゃー」、長い長い、新しく張り替えられた瀟洒なローズウッド色の廊下を歩くと、とおーくの床が、思わぬ具合に軋む。ここは「アンティーク」という言葉がぴったりな元小学校だ。ここで今日、地点の芝居を観るのだ。 絶望したように見える白樺が、舞台天井…

赤坂ACTシアター いのうえ歌舞伎《亞》alternative『けむりの軍団』

うっかりしてる間にこんな年になってしまって、ふと頭の中を「明日の月日はないものを」という詞がよぎる。(黒澤も使ってたねー) この新感線の『けむりの軍団』を見ていると、それをひしひしと感じるのだった。いまの「い」という言葉と「ま」という言葉を…

DDD青山クロスシアター 『絢爛とか爛漫とか』

昭和初期、一人住まいの裕福な青年古賀大介(安西慎太郎)の居室で繰り広げられる青春の四季の人間模様。かと思ったらなかなか、そんな甘いもんではなかった。 四人の青年が友人として登場し、それぞれ文学と相渉る。この文学(芸術)の存在が、とても大きく…

Bunkamuraオーチャードホール 史依弘(シー・イーホン)プレミアム公演第二夜 『百花贈剣』『貞娥刺虎』

パンフレットの表紙の写真がきれい(ロゴは…いまいち。)。髪の短い女の人が、暗がりで長椅子に腰を下ろして京劇の靴をはこうとしている。長椅子のところまで左足を上げ、紐を結ぶところだ。舞台の照明が女の人の前方上からそっと当たり、彼女の動作の優しさ…

ビルボードライブ東京 ニック・ロウ

ニック・ロウをビルボード東京に聴きに行くことになって、凄く後悔した。ポップな感じ、短い曲、生き生きしたチューン、明るさ、好きにきまってる。どうしてもっと早く、たくさん、聴かなかったんだ。 ビルボード東京から見晴らす公園に、岩のオブジェをちり…

紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYA  PARCO PRODUCE 2019 『人形の家PART2』

「あー、ハンマースホイ」 微妙に粗く、そして丁寧に塗られたうす水色の壁と、そこに白く低くめぐらされた腰板を見て、デンマークの画家のことをすぐ思い出すのだった。ハンマースホイは女(妻)の後姿や、ひと気のない室内をよく画題にした画家で、静謐な品…

シアタークリエ KERA CROSS #1 『フローズン・ビーチ』

ぽんぽんひゅるひゅる上がる花火のような会話、どこをとってもぱっと小さく火がつき、火薬が言葉を打ち上げて、金や銀の火花がきらきら海に散っていく。これ面白い話だね。初演1998年、21年たって再演したくなるのわかる。 1987年の夏、海外のある島の広壮な…

シアター風姿花伝 カクシンハン第13回ロングラン公演「薔薇戦争」WARS OF THE ROSES 『リチャード三世』

王冠は血塗られた太陽だ。 グロスター公リチャード(河内大和)は太陽の影にうつる自分のねじれた姿を呪いながら、激しく王冠を求める。七枚に分かれているくしゃくしゃの和紙のような後景のスクリーンの間から、リチャードは足先を見せ、逆子として生まれる…

シアター風姿花伝 カクシンハン第13回ロングラン公演「薔薇戦争」WARS OF THE ROSES 『ヘンリー六世』

文句はいろいろあった。劇場のサイズ感がつかめていず、皆怒鳴って声が割れている。只でさえ役柄の把握が難しいのに、赤薔薇ランカスター家のグロスター公ハンフリー(別所晋)と白薔薇ヨーク家のリチャード・プランタジネット(大塚航二朗)が、髭の生やし…

東京芸術劇場 プレイハウス 『お気に召すまま』

赤い幕が襞を寄せて「額縁」の中にある。開演時間が近づくと、幕は船の帆のように風を孕んでかすかにふくらむのだった。 私の頭の中では、あの幕は風で手前の客席の方へあおられて、高く高く、裾がミラーボールにつくくらいに持ち上がり、役者たちは「額縁」…

板橋区立文化会館大ホール 『柳家小三治独演会』

板橋区大山、すてきなカフェのあるところ。凍らせた紅茶のキューブの上に紅茶を注ぎ、レモンのスライスを5、6枚浮かべて、レモンをつぶして飲む。ゆるいジャズっぽい音楽が聞こえ、冷えて汗を浮かべたコップのように、すべてがゆったりとくぐもって遠く感じ…