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劇団☆新感線2014年春興行いのうえ歌舞伎『蒼の乱』

国司常陸源五(インディ高橋)、その妻那香(森奈みはる)、坂東の豪族良兼武蔵介(逆木圭一郎)、良正上総介(吉田メタル)の「わるもの」四人が、下手前方に現れて、そろって下手奥へ歩いてゆく。「ふんっ!」って感じ。足首がちょっと、芝居してる。こっそりおかしい。新感線の、こういうところが好きだ。

 あるいは、ものすごく衣装を着こなしてる橋本じゅん(黒馬鬼役)はじめ同様のコスチュームの面々。両手に握ったノルディックスキーのストックのような棒を操り、芸術性の高い生き物を実現していた。その修練が思われる。

 出演者の身を挺した様々な工夫の上に、新感線の伝奇的で骨太なロマンが載っている。

 今回は、平将門松山ケンイチ)と渡来人蒼真(天海祐希)の愛と、将門の乱についての芝居だ。

 招かれておこなった占いの卦が悪かったために殺されそうになる蒼真と桔梗(高田聖子)、それを助ける将門。追いつめられた三人を導く謎の男夜叉丸(早乙女太一)は、実は蝦夷の国の常世王(平幹二朗)の使いで、将門を西海の反乱者純友(粟根まこと)にひきあわせる。将門は常世王の言葉に従い独立国を立てようとする。しかし亡霊を見るようになった彼は突如失踪してしまう。かわりに将門御前と名乗って戦いを支えることになった蒼真は、昔、反乱のために立ち上がって、国を失った過去を持っていた。

 よくある勧善懲悪の物語ではなく、「いいもの」と「わるもの」の間で座標軸を見失う若者が主人公だ。善も悪も見分けがつかない、扇で口元を隠していたり、手を汚す巫女を持っていたりする。蒼真と将門が、好きになりあうきっかけが、もひとつ飲みこめないが、大きな劇場で見る大柄な恋人たちは素敵。