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パルコ 『かないくん展』

 死ぬとどうなる。と問う前に、死ぬのがめちゃくちゃ怖い。よわむし。死期を宣告されたりしたら、動揺の余り死んでしまいそうだ。

 夏休み、日焼けで剥けた皮膚が、ワンピースの下でひらひらしている。自分のもので、自分でない。子どものころには、死はそんなイメージだったけど、だんだん、その皮膚が、身体にぴったり貼りついてくるみたいな気がする。なのに、依然として死について考えない。死んでも、電車が走ったり、デパートが営業していたりすること。やっぱり、こわい。

 『かないくん展』に行った。小学校のクラスメート「かないくん」を手掛かりに、死について考える絵本、『かないくん』のいろいろが展示してある。絵は松本大洋、その原画とラフスケッチが並び、文章を書いた谷川俊太郎の詩が飾られ、工夫が凝らされている。子どもに死についてインタビューした映像などもあり、くすっと笑える。いや、笑えない。だって子どもと同じくらいにしか、死について知らないもの。いなくなること、違う場所に行くこと。あれこれまじめに考えながら出口そばまで来ると、来場者用の学校椅子(時代物)に男の子が座っている。

 (…かない!?)敬称略。

 難しい顔をして、赤鉛筆でノートに何か書き込んでいる。まだ小さいから、重い椅子が引き寄せられない。つんのめった椅子は二本足になって、グラグラしている。かないくんに会った。と思った。かないくんはこわくなかった。もっと、普通の顔つきで、私の日常のあちこちにいる。きっと、待合室でマンガ読んでたり、スーパーの通路でしゃがんでいたり、雨どいの雨水を長靴の先っぽで受けていたりするのだ。時々、かないくんを見るのは、怖がりには大事なことだ。最後の瞬間、こわいよりも懐かしい感じがする方が、いいにきまってる。