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ヨーロッパ企画 『ビルのゲーツ』

 悪魔にたましい売ってゲーム終了。

 それが私の一度きりのゲーム体験です。

 アフタートークで(ゲスト:せきしろバッファロー吾郎A ヨーロッパ企画上田誠、石田剛太、酒井善史)、『ビルのゲーツ』はゲームの感じなのだと繰り返し言われていて、果たして私にはこの芝居がわかってるのだかどうだか不安。

 ある大企業。巨象のような、神殿のようなとたとえられるビルに、ベンチャーの社員たちが招かれる。CEOが彼らに会いたいといっているのだ。一人がセキュリティカードをかざしてゲートを開けようとするが、ことはそれほど簡単ではなかった。

 駆け上がる森。森に踏み込めば踏み込むほどいろんなことが起きる。社員たちは最初はCEOに会おうとしているのに、しだいにわからない「だれか」の挑戦に熱くなり、それをクリアすることが目的化する。知能を試され、体力を試され、勇気を試される。「だれか」がいつのまにか、敵と化す。賭博のようで、戦争のようだ。それがゲームなのだろうか。

 「貢献度を数値化され、危険に向かってつっこんでいくチーム」という、地獄のような裏バージョンへの言及はあるが、きっちり等間隔に、「はいはいはい」とビルに感心しながら出てきた登場人物を、最後まで好きでいられる。現場の工事業者、業界の花形、ベンチャーと、微妙なヒエラルキーの差異も目的に向かって協力するいい感じで解消される。いい話だ。

 最初のいくつかの課題が簡単すぎ、その間、なぜかキケンなビルを駆け下りてくる人々の映像が脳裡にちらついて、ちょっと怖かった。森に踏み込む、もすこし深い課題はないのか。いや、悪魔に魂売った人に、いわれたくないかもしれませんけど。