読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

青山円劇カウンシルアンコール 『生きてるものはいないのか』

 主役っぽいから死なないとか無し。死は平等に、軽々と登場人物に訪れる。

 終演後パンフレットを広げて「ミキ(川口春奈)病気の子」だの、「ショージ(中嶋歩)アイドル業の傍ら大学へ」だの、書き込んで頭の整理をした。でもみんな死んじゃうのだ。出てくる若者がみんな綺麗だったり、かっこよかったりするのに驚いていたけど、だれもが死んでしまうのがさらに驚きだった。この展開がミステリーのテレビドラマだったりしたら、全然犯人がわからないだろう。

 最初のうち「死」は日常を撃つ突然の非日常として現れる。大学生ナナ(若月佑美)の異変にびっくりした恋人マッチ(木村了)と友人カツオ(坂口辰平)は、ナナに触ることすらできない。

 ファミレスで三角関係の込み入った相談をしていて、傍目にも混乱のもとになっているのがわかるカツフミ(前田司郎)も不意に死ぬ。一歩も譲らないリョウコ(横田美紀)、養育費を求めるカオリ(明星真由美)、話はこれから面白くなりそうだったのに、宙ぶらりんで終わる。中途の、切断としての死だ。

 段々に死ぬ人が増えてくると、「死」とかかわるのを迷惑に思う、というブラックなおかしさが生まれる。コウイチ(佐藤誠)とショージの看取り合いなど、誕生と同じように「死」が、「死なせる」という介添えの産婆のようなものを必要としていると思わせる。苦悶の絶叫は何か絶頂感を感じているようにも聞こえた。大学周辺で原因不明の死が続くという設定なので登場人物はみな若く、人間関係が希薄なことが露呈していく。人は皆死ぬ。しかし死ぬが死ぬまで、まさか自分がほんとうに死ぬとは思っていないのである。

 「死ぬ」とはまず「動かない」ことだ。皆死ぬとぴくりとも動かず、立派な「死んだふり」だった。