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ダックスーププロデュース2014 『シンデレラの一部』

 私はふつうの、市井の一般人である。人を笑わそうなんて企てたことはない。そして、例えば、プルーストには笑えるポイントはない。

 しかし、私がプルーストを読むと,本 のここ(右ページの始まり)とここ(左ページの終り)の間が、なぜ埋まっているのかわからなくなることがある。それってナンセンス?私がプルーストを読みとおそうとする状況、もしかしたらそれは、やりようによっては、ナンセンスコメディになる、のかもしれない。難しいね、コメディって。わからん。

 このように私には、全然「わらい」がわからないのに、今日、ブルー&スカイ作『シンデレラの一部』を観に行ってきたのだった。

 スズナリの中にいい感じにバロック音楽が響き、鬘をかぶったゴブラン織りの服の人などを想像していると、ぼろの服を着た二人の男が、トランクを提げて舞台に登場する。激しい風の音。王子の遣いである二人はシンデレラのガラスの靴を紛失して、東奔西走している。一日の休みも与えられない。(このあたりカフカっぽい。)特に一人は(1の方=吉増裕士)疲労がひどく、その疲労が芝居を微妙に動かす。無職の男(吉田亮)が医師免許だといってボールを持ってくる。彼の恋人(高木珠里)は声の大きさで愛をはかる。医者(小村裕次郎)はいきなり靴を脱いで花嫁を探させる。皆大真面目である。真面目にやるのが肝だ。クールな笑いの階段が、細かい所についていて、うまく登らなければならない。緊張。真面目で、畏まっている私がこの芝居を観ることは、ある意味コメディなのかもと思いかけたとき、大笑いした。それは幕切れである。野蛮な感じに放り投げられたエンディング、あとでおもいだして何度も笑った。置いてけぼり感が素晴らしかった。