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シネマート六本木 『クリミナル・アフェア 魔警』

 香港映画ばっかり観てるみたいだけどそうでもない。『アナ雪』や『ムーンライズ・キングダム』も観てる。よかったよね、『ムーンライズ・キングダム』、最後の画面でうっと涙がこみ上げた。声がふるえそうで、しばらく口がきけなかったもん。あれは泣く。うっ。(おもいだす。)

 で、『クリミナル・アフェア』だ。香港映画。えーけっきょくー?そうだよ、しかも飛び切り痛いやつ。シネマート六本木が閉館するらしいので、ついふらふら見に行きました。

 主演はダニエル・ウー。ハンサム。病院の警備の警官、ディブ・ウォンだ。座っているところを一瞥してもう、不穏な感じ。顔がこわばって、うすくて形のいい唇が目立つ。40日で13キロ痩せたらしい。警備所に配属されてるだけなのに、隠れているようにも、閉じ込められているようにも見える。大きすぎるトラウマに苦しめられていることが、おいおいわかってくる。病院に運び込まれてくる凶悪強盗団の一人ホン(ニック・チョン)。けがをしたホンの為の輸血に協力してしまうウォン。寝かされたベッドで、衝立の間から、二人の目が合う。大事なシーンだ。でもこの後痛いこわいシーンが目白押し。血煙の立つ銃撃戦とか、火に包まれて火だるまとか、そのほか。なんでこんなにも痛いのかなあと、急に思い出すのは『ムーンライズ・キングダム』の犬の死ぬシーン。あれってたぶん主人公の子供たちの苦痛の象徴だ。ウォンの濁り水のような、殺伐とした人生。痛いシーンの連続は、彼の絶え間ない苦痛を表わしている。あんまり痛くて、シーンの強弱が、わからなくなっちゃった。そこが惜しい。でも、途切れ目のない痛さにさらされ続けた挙句、胸に潜む悪を語る最後のシーンにたどり着くとなんかもう、そこは小さな澄んでる泉みたいで、胸がつまったよ。うっ。