東京フォーラム クロスビー、スティルス アンド ナッシュ 2015 tour

 「(思い出すためにうつむく)クロスビー。(ちょっと考えて)スティルス。...アンドナッシュ。(顔をあげる、言えたのでにっこりする。)」

 このくらいの知識なのにコンサートに行ってしまいました、すみません。うちにはCSN(そう呼ぶらしい)のCDがたくさんあって、いつも遠巻きにしていた。白髪のおじさんたち。そのハーモニーか。解せない。でも、毎日聴いてみた。「デジャヴ」だ。公園の、回転式ジャングルジム、あのくるくる回るの、あれに乗ってる。笑っている友達の顔、その後ろに横棒のように流れて見える景色。ぴょん、と飛び降りる。くらっとして目をつぶると、暗闇の中に点々と光が見える。あれだ。目まいの中に音楽があるのか、音楽に目まいがすんでいるのか。

 一曲目のCarry onが明るく始まる。ふわっと聴いていたけど、<carry on,Love is coming to us all>のコーラスでへたへたとくずおれそうになった。きれい。高音の初めと終わりがピシッとしていて、裁ち屑ひとつでない感じ。三つ重ねの漆の箱みたいにそろってる。不意に、この人たちはおじさんじゃないんだと思う。うなじにかかる若者の髪の房が見える。おじさんだと思うからわからなかったのだ。この人たちは若い。

 白眉は後半のGuinnevereだった。とても複雑で難しい歌。あのCDの、目まいのギターが鳴っている。しかし違うゆっくりしたうたい方。緑色の瞳のグウィネヴィアが歩いてくる。漆の上に沈金の線描で、女王のような背の高い女がゆっくり現れる。美しくて不思議。そして、あの目まいの感じが明らかに深化している。年を経た漆が、透明に光ってくるような。歌い終わると舞台から「どうでしたか」と問いかけられる。最高です。最高でした。