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シス・カンパニー公演 『RED』

 あかのなかからくろ くろのなかからあか あかのなかからくろ くろの…

 と、永遠に続く連環。絵肌はひそかに息を吸い込んでいるように見える。吸い込むということは、やがては吐く。息を吐いて、ロスコの絵は、何を語るのか。

 というようなことを、きっと絵の前で考えた人が書いた脚本だと思ったなー。

 「なにがみえる?」ロスコ(田中哲司)は若い助手ケン(小栗旬)に訊く。大切なセリフだ。逃げ場がないように訊かなくちゃならない。今から始まるのは、真剣の立会のようなもの。ロスコの絵を見ることでなにがみえるのか、それを語るのは自分を語ること、画家がパレットを公開するようなものなのだ。二人は画家だ。逃げない。だから思わぬ早い段階で、ケンは大きな傷を告白しそうになる。ピカソマティスの巨匠たち、ジャクソン・ポロックのようなスターの現代画家、ロスコを追いつめるポップ・アートの画家について語る。色について語る。ニーチェについて、血腥い思い出について語る。

 川村美術館のロスコを見た人ならわかるはずだけど、(ええーこれをレストランにー?!)ってぜったいおもう。ロスコは難しいことを語りながら、レストランに絵を置くことで揺れている。その揺れがもっと伝わるといいのに。ケンの出だしの、キャンヴァスの後ろでの足取りがすらすらしてるけど、施設で育った若い人が、気後れはしないの?あとスーツ似合いすぎだよ。ぎこちなさと哀しみがほしいです。今回のこの芝居で一番すごいのは「一か月やる」ってことだ。互いの胸をキャンヴァスに一か月。真剣勝負で一か月である。