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虚構の劇団 『ホーボーズ・ソング スナフキンの手紙NEO』

 はー。おもしろかった。私の鴻上尚史史上、最も面白い芝居だった。

 現代、現在をどう見るか。鴻上は、「たった今」の、まるで熔けた鉄のような時間を切り取る。現在を語るとき、避けて通れないテーマ、「日本は戦争をする国になるのか」。芝居に登場する日本は、左派と右派に分かれて戦う内戦状態にある。拷問が横行し、使命感が世を蓋う。ヒーローっぽい「自爆テロ」が予告され、その記者会見が開かれる。ところが、自爆テロをやるはずの兵士(森田ひかり)は、動揺する。可笑しい。敵味方に分かれる恋人たち、兵士を説得に来る内親王(小野川晶)。芝居は二転三転する。

 なんかね、サブレでも割るように、「女のルサンチマン」「女の攻撃性」が分解されてた。うまい。生まれたときから余計者のかんじが、レズビアンまで勘定に入れて説明してある。

鴻上尚史の芝居をみると、俳優が「うまくない」ことやその弱点を、巧みに使って物語りが組みあげられていることがあって、今回も若い女優たちは水着になり、見ているこちらの(なにこれ)という憤りまでが、痛々しい「たった今」を成立させる。そして拷問シーンのこわさ加減。それもやっぱり、たった今って感じ。才人。でもね、それは30年前もそうだったの。鴻上さんの持っている物語に、ひりひりする「現在」がぴったりあったのかもしれない。次回作たのしみです。

 俳優は皆、けん命に演じ、とても感じがいい。アクションも決まってる。女官を演じた小沢道成が印象に残る。ただ、みんなセリフがこもって聞き取りにくい。小野川晶のセリフが、一番よく聴こえたよ。