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GONTITI 秋のバンドツァー

 向かって舞台下手に三上さん、主旋律を演奏します。上手側に松村さん、伴奏、というか、サウンドを作ります。こんなことさえ、コンサートに行かなかったら知らない情報だったよ。ゴンチチのラジオは、十年以上聴いているのにね。

 舞台中央に大きな青い幕が下がっていて、「The most comfortable music on earth」と書いてあり、ギターの絵がさらっと。舞台の上には本物の真っ赤なギターが二本おいてある。赤坂ブリッツはじめてきた。折りたたみ椅子がびっしり、ステージにも演奏用に椅子があるけど、それは客席と同じものだ。もうひとつ、下手側に「カフェ憩」の看板があって、「ちょっと一服憩ませんか」と昔の喫茶店風な文字が読める。

 ゴンチチ登場。渋い緑のスーツ、三上さんがダブル、松村さんがシングル仕立て。そこに赤い、枝豆みたいなふっくらしたギターを抱えると、サヴィニャックの描く絵みたいだ。謎の東洋人。謎の東洋人ギタリスト。看板と似合ってる。

 ゴンチチを、一日の、いつ聴くか。目覚めの時に聞く人もいるだろう、午後のお茶の時間に聞く人もきっといる。しかし、私はたいてい寝る前だ。夜の隙間の暗がり、こわい気持ち、恐れる気持ちに落ち込まないように、ゴンチチが手助けしてくれる。「少ししんみりしたら、おゆるしください」と松村さんが言う。「ありがとう、よろしくおねがいします。」と答えて、ギターを聴かせてもらい、朝へと運んでもらうのだ。と、すっかり気を許しながら曲を聴いていたら、不意に松村さんが、「(たしかに)家で寝たのに道で起きる」とバンドアレンジの曲を例えた。わらった。たしかにまったりアルバムを聴いていたら、不意に激しいナンバーで飛び起きるということがある。あれ、道で目を覚ましていたのかもしれないなあ。