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KOKAMI@network vol.14 『イントレランスの祭』

本屋さんで雑誌を選ぶ、端っこがめくれたりしていないように、平積みの上から三番目。スーパーでトマトを選ぶ、大きいの、赤いの、新しいの。見ることの中に「選ぶ」があって、「選ぶ」の中に小さく、でも漏れなく「差別」が内蔵されている。

「6年前」、580万の宇宙人(エピクラル人)が地球に逃げてきた。国連の総会は難民として受け入れを決め、日本には25万人が割り当てられる。エピクラル人たちはスライム状の姿から人をコピーして人間の姿に変わり、オリジナルの人間とは遠く離れた地で生活している。彼らを「チュウ(宙)」と呼んで排斥する運動が起き、エピクラル人友愛協会の黒井(大高洋夫)は、女王を選定して広報に努めようとする。女王となるのは自称アーティストの佐渡健吾(風間俊介)の恋人青井蛍(岡本玲)だった。健吾の混乱をよそに、テレビ局、ネットを巻き込んで、事態は進展していく。

 岡本玲と藤田記子が出てくるたび、自分の中の差別の根深さにくらくらするのである。お姫様はナウシカであってほしいという子供じみた願い。自分が差別される対象「若くない女」でありながら、差別している自分の視線に驚く。

 日本防衛隊の清水(久ヶ沢徹)がまったく女の外見しか気にしないのと違って、蛍と健吾の愛が深まる小さいエピソードが、仕草一つでもあれば、それが可能なら、最後のシーンもっとよかったのに。

 芝居の図式、構図がとても面白い。しかし深化しない。舞台には病院のビニールのカーテンがかかり、その奥に組み上げられたイントレの形は、たぶん、脳に似ている。これは何者にもなれない辛い青年の夢だろう。だが芝居に出てくるだれの夢でもあり得る。そして、観ているものの不寛容の「悪夢」でもあるのだ。飲み物を吹きつけるシーンは必要?必要性がわからなかった。