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劇団四季 『ウェストサイド物語』

 ていねいなステップ。

 ジェット団が(シャーク団が)舞台いっぱいにステップを刻むと、何だか涙が出てくるのである。ダイナミックなステップなんだけど、そのダイナミックさと同時に、この舞台の人々が、演目を大切にして、ながく培ってきた丹念さを感じる。細心な、緻密な感じ。誠実が透けて見える。それを見てると泣けてくる。

 高校生の頃初めて映画を見たときは、有名な定規みたいに足を振り上げるシーンも一瞬だし、ストーリーはシンプルだし、なにがなんだかよくわからなかった。今ならわかる気がする。これ、生きて脈打つ、かなしい話だったんだ。

 1950年代のアメリカ、ニューヨーク。貧しい移民の少年たちは二手に分かれてなわばりを争っている。先にやってきた移民(ジェット団)と、新顔のプエルトリカン(シャーク団)。敵対しあうどうしの中で生まれたトニー(神永東吾)とマリア(山本紗衣)の許されない恋。

 トニーとマリアの二重唱が素晴らしい。歌って、踊れる、手足の長い、練習熱心な人たち。(練習熱心じゃないと、あの、丹念な細部に集中した感じは出ない)すごいよね。また泣いてます。

 ただ、セリフのシーンになると、出てた涙が引っ込むのであった。よくわからないけど、ミュージカルのセリフって、ストレートプレイのセリフと、朗誦の中間みたいな感じなの?あと万人向けにゆっくり作ってある?

 私の好きなシーンはベッドを挟んでマリアとアニタ(岡村美南)が見つめあうところ。アニタが賢くて、情のある女って感じがした。それから裸舞台にトニーとマリアが立つシーン。寄る辺なさが頂点。修学旅行生が来ていたけど静かに見ていて、日本、進化してます。