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アップリンク 『サクロモンテの丘~ロマの洞窟フラメンコ』

 スペイン―アンダルシア地方―グラナダ。申し訳ないくらい何のイメージもないが、ネットでグラナダの地図を呼び出すと、そこはアルハンブラ宮殿フランコに銃殺された詩人ガルシア・ロルカの名を冠する公園のあるところ。

 アルハンブラ宮殿か。ここってイスラム王朝の「グラナダ王国」の首都で、イスラム文化が強く残っている土地柄なんだね。そんな街に15世紀ロマの人々が住みつくようになる。彼らはサクロモンテの丘、山の洞窟で暮らし、独自の文化を育て、その歌と踊りと演奏は、18世紀ごろには「フラメンコ」の原型となっていった。

 20世紀になってからのサクロモンテ、1963年に水害で放棄させられたサクロモンテについて、かつての踊り手、歌い手、弾き手が、踊り、歌い、弾いて語る。

 昔は皆が貧しく、子どももフラメンコを踊って見せたり、写真を撮らせたりして、チップをもらった。辛かったみたいな影はちっともなく、みんな生き生きとなつかしそうだ。

 額と頬に深い皺のある老女も、体全体にふっくらと詰め物をしたような老人も、ギターが鳴り、速い手拍子が聞こえると背筋が伸び、頭の上で鳥のように旋回する手首や、ドラマチックに順に折られてはまた開く指、踏み鳴らすステップが全く、一流のプロのもの。後ろで掛け声(ハレオというんだって)が聞こえるが、それが祭りの勢い水(きおいみず)のように、踊り手をこの世で最高の男、最高の女に変化させてゆく。

 「鍵と錠前」と歌われた途端、あ、これセクシャルな意味かなと思ってしまったが、フラメンコはきっとサクロモンテの人々の行住坐臥、ものすごく日常に近い所から生まれてきて、生活と一体化していたのだなあと感じました。