ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人極 修羅天魔』 

 極楽:しょせん歩むは修羅の道だよ!

 言い切って歩き出す極楽(天海祐希)に、まるでカメラとして付き随うように、客席がともに動く。カメラは極楽の過去を振り返るのだが、徐々に彼女から離れ、いまの日本ではありえないほど広い曠野を極楽がひとり歩いているところが頭の中に見えてくる。『戦争と平和』か!ここ、かっこよかったなー。

 自販機すら見当たらない人の気配のない駅に、突如出現した廻る劇場、こんな所へ一年以上、何万人も集客する新感線てすごいけど、一観客としての私が最も恐れているのは、「ゆっくりした予定調和の紙芝居」に新感線がなってしまうことだ。マイクを使った大劇場で難しいと思うが、芝居に奥行きが必要。

 夢三郎(竜星涼)が、「夢三郎ではない」と最後に言う時、彼の中に動揺はないの?ほんとにお父さん一筋なの?この人次第で芝居は変わると思う。

 狸穴二郎衛門(山本亨)、まだ前半のポップに「気」が入っていない。ここをぱりっとやらないと、狸穴の奥行きが出ない。

 沙霧(清水くるみ)は大過なくつとめているが、「よくある造型」。声のトーンが一定でつまらない。自分の出している声をよく聴いて。

 河野まさと、右近健一など新感線の生え抜きや、川原正嗣が劇場が大きくなるにつれ順調に成長している。客演と遜色ない。

 古田新太、信長よかった。すたすた歩くところにも、セリフ回しにも、こだわらないこころが表れていてこれじゃあすきになっちゃうよねと思った。抱擁(?)シーンには「おんなが嫌い感」が滲んでいる。

 天海祐希、早替りがあっさりしすぎてわかりにくい。もったいないです。