オンワードpresents新感線☆RS 『メタルマクベス disc2』

 「お父さんの芝居観たことあります。」お父さん世代でーす。

 前から3列目、あとからあとから座る客の顔がみな、思わず、そして必ずほころんでいる舞台の近さ。

 真夏の『メタルマクベスdisc1』の次は、この『disc2』、主人公のランダムスターを歌舞伎俳優の尾上松也が演じる。尾上松也よかった。なんといっても近いので、迫った眉と切れ長の目の間に施したグレーの翳と、凛々しく端正な顔つきがあっていて、見とれた。レスポール王(木場勝己)に伝令ヤマハ(インディ高橋)が戦況を報告(実際に報告するのはコブシの効いたメタルを見事に歌いこなす徳永君こと徳永ゆうきである)する時に見せる立ち回りはゆっくりでふわっとしており、「殺陣あんまり好きでない派」の私は、心の中で(要らんやん)というのだったが、芝居が進むにつれ、メタルは松也の中に滲みこんでいき、殺陣は次第に「肉を切らせて骨を断つ」間合いをつめた、惨酷なものになっていく。その滲みこみ加減、リアリティといったら、ランダムスターとマクベス魔Ⅱ夜の重なっていく姿を表わしていて鮮やかである。アフタートークを聞くと、松也さんという人は賢くて程よく自分が好き(自己肯定感がある)、そして気遣いもできるとわかるのだが、聞いているうちに欲が出る。この人もっとできるはずと思うのだ。歌舞伎をちょっとやって見せたりとかじゃなく、そこ抜きにして、骨太な、大きい役で観たい。メタルの滲みこみがちょっと遅い。もっと深いさまざまな貌ができると思う。そして歌詞気を付けて。大原櫻子、健闘してるけど、きぃぃぃっと叫ぶところ減らした方がいいよ。いいところを立てよう。「キャラメルの歌」の時の「眠れない顔」とか。レスポールJrと元きよし(原嘉孝)「奇妙なほど振付が体に入ってる人」としてよかった。門番(逆木圭一郎)、役を自分のものにしている。