IHIステージアラウンド東京 新感線☆RS『メタルマクベス』disc3

 ラサール石井の一際ぴりっとした喜劇力で、周りが霞む。乾杯しそうでしない1980年代のパーティシーンだ。ラサール石井は特に声を張ったりしないのだが、その「間」は薄い刃物で削いだように鋭い。でも、だあれもこの「間」に追いつけてない。新感線て、笑いを取るので有名な劇団じゃなかった?マイクつけて大劇場でやっているうちに、すこし「鈍く」なってしまったのかなー。

 これまでのdisc1、disc2と、賑やかしの冒頭シーンだった(どちらかと言えばショウだった)魔女の場面がきちんと積み重ねのある芝居になっている。その分、見やすい。それはdisc3全部に言えると思う。

 浦井健治は説得力のある演技で『メタルマクベス』を引っ張る。「変顔」が地味で惜しい。「仮面」の形のマイクが持ちにくそう。

 マクベス夫人にあたるランダムスターの妻長澤まさみはとてもよくやっている。美しく、しなやかで、気品がある。しかし、王(ラサール石井)に忍び寄り、頭を割ろうとする笑いの場面がまずい。「間」は鍛えれば鍛えられると思う。あそこに長澤まさみのウィークポイント(うっかり粗い)が集約されている。そして、ここは相手がラサール石井だからこそ、やりがいがある。もっとたたかえるシーンだ。

 汚いものを飛び越えるところも、全員もっとダンスのように厳しく間合いをはからないとつまらない。

 みんな今日は音程がいまいちで、会場に音声の反響が残って二重に聴こえ、最後は耳が痛くなった。

 観に来ていた数列前の外国の人、一幕で帰っちゃったよ。帰らしちゃいけません。ラサール石井、まじめな芝居の方、もうちょっとがんばって。