2013-07-21から1日間の記事一覧

シアタートラム「誤解」「正義の人びと」 

「一人の男が金をもうけようと、チェコのある村を出立し、二十五年ののち、金持になって、妻と一人の子供を引き連れ、戻ってきた。その母親は妹とともに、故郷の村でホテルを営んでいた。」(新潮文庫:窪田啓作訳) カミュの『異邦人』で、主人公ムルソーが…

パルコ劇場「非常の人何ぞ非常に」

燃えない布を発明。うなぎを宣伝。日本で最初に洋画を描いた。日本の貿易不均衡を憂える。いろいろありすぎてどんな人だか知れないのである。平賀源内(1728~1778)。エレキテルを修理復元した人でもある。 これにたいして、杉田玄白は、オランダの…

世田谷パブリックシアター「ドレッサー」

メビウスの帯。紙テープを一回ひねって、もう一方の端に糊付けするとできる輪っかの、テープの真ん中を鉛筆でたどっていくと、あら不思議、表と裏がありません。 「ドレッサー」は、そういう芝居に見える。 腹に響く爆弾の炸裂音の中、今日も舞台が幕を開け…

新国立劇場「象」

暴力はどこからやってくるのか。一つは津波や地震のように自然から、もうひとつは争いや戦争のように、人間が相手を見てしまうこと=視線から。通行人1(山西惇)が通行人2(金成均)にステッキを振り下ろすのは、じっと見ていたからというのがはじまりだ…