2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

彩の国さいたま芸術劇場 『私を離さないで』

生きてることは理不尽の連続。朝目を覚ます、学校へ行く、お金を稼ぐ、ご飯を食べる、夜眠る、そしていつか死ぬ。どれ一つとして理不尽でないことはないのに、カズオ・イシグロは、もっと峻烈な理不尽を登場人物に加える。『私を離さないで』は、科せられた…

ナイロン100℃ 41st session 『パン屋文六の思案 続・岸田國士一幕劇コレクション』

入場とともに一枚のシートを手渡される。真四角の厚紙が赤と青で四つに仕切られて、番号が振ってある。 「ナイロン100℃41st session パン屋文六の思案 続・岸田國士一幕劇コレクション ニオイシート」 これがあの、芝居の途中でにおいを体験させるというやつ…

東京芸術劇場 『酒と涙とジキルとハイド』

分厚い本を「ひらいた」ようなセット、本の「のど」の部分に階段、階段下は暗がり。地下室である。下手側に長テーブル、薄紫の液体と、透明の液体が、二本のフラスコに入れられ、沸いている。フラスコの沸きあがる音が、低く聴こえる。壁一面に棚、茶と白の…

世田谷パブリックシアター 『夜中に犬に起こった奇妙な事件』

セットを見るなり、非現実感が。学校の教室だ。正面は黒板、上手側奥に出入り口、下手側奥にも出入り口がある。ハの字の形に両側に椅子が並べられ、下手の前と、上手の前には机と椅子が一組ずつ、上手奥にはピアノが一台。上手の出入り口、下手の出入り口、…

劇団☆新感線2014年春興行いのうえ歌舞伎『蒼の乱』

国司、常陸源五(インディ高橋)、その妻那香(森奈みはる)、坂東の豪族良兼武蔵介(逆木圭一郎)、良正上総介(吉田メタル)の「わるもの」四人が、下手前方に現れて、そろって下手奥へ歩いてゆく。「ふんっ!」って感じ。足首がちょっと、芝居してる。こ…

ゼップダイヴァーシティ ボブ・ディラン

ボブ・ディランは私に、わからないことというのは存在していて、それ以上でも、それ以下でもないんだよと教えてくれた偉い先生だ。それなのに私ときたら、ディランの歌詞集を、不器用にあっちめくり、こっちめくりしてるうちにもはやライヴ当日。ネットで誰…

パルコ劇場 『万獣こわい』

苛立つ女。陽子(小池栄子)の声には、途切れることなく苛立ちがこもる。陽子は不倫の末に結婚した夫(生瀬勝久)と、カフェをオープンしようとしていた。生活が苦しい。彼女は子供を欲しがっているが、なかなか出来ない。 夫の方は妻とフラットに受け答えし…