2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

六月博多座大歌舞伎

いきなり不穏。ごぉーんという遠くの鐘の音、暗がりにただならぬ気配。主人中川三郎兵衛(嵐橘三郎)の妾お弓(中村魁春)と密通し、中間市九郎(中村梅玉)が手討ちにされそうになっている。夢中で手向かいする市九郎は中川を逆に殺してしまった。市九郎は…

夏木マリ 印象派NEO vol.2 『灰かぶりのシンデレラ』

F列の23番、上手寄り。重低音が右の鎖骨に響く。舞台の上にDJ(BABY-T)がいて、それから察するにこれはクラブ音楽。音に耐える、のはやめて、こんな音楽をかけて踊る人たちがどこかにいるのだなあと思う。今年の帽子、今年の服を着たきれいな人たち。洗濯で…

青山円形劇場 『赤鬼』

開場し、客が席に着いていく間に、アンサンブル(竹内英明、傳川光留、寺内淳志)がすうっと現れ、舞台を通り抜ける。客席と舞台の空気をかきまぜている。円形舞台を土星の環のように通路が囲んで、半分は舞台より高く、半分は低い。うっすら波の音がして、…

日生劇場 『昔の日々』

真紅の張り出し舞台、真紅のシェーズロングが左右に二台、真ん中に真紅の肘掛椅子が一つ。張り出し舞台の奥はみな灰色、中央に暖炉、下手側にピアノとベッドが一つ、上手にはガーデンテーブルと二脚の椅子、葉の落ちた木が一本、二人掛けのベンチ。 開演前に…

東京都美術館 『バルテュス展』

ものすごく猫と遊ぶと、猫の姿かたちを、一瞬見失うことがある。猫のこころと、自分のこころが、対等になってしまうのだ。私が、「あんただれ?」と、思う。すると猫も、あんただれ、と思っている。一対一。そしてそのあと、相手が純粋無垢に自分本位の、自…