2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧
はー。おもしろかった。私の鴻上尚史史上、最も面白い芝居だった。 現代、現在をどう見るか。鴻上は、「たった今」の、まるで熔けた鉄のような時間を切り取る。現在を語るとき、避けて通れないテーマ、「日本は戦争をする国になるのか」。芝居に登場する日本…
馬琴、微妙。勧善懲悪のいかつい物語を書き、金の出入りにうるさく、金棒引きみたいに同業者の悪口を本に書く人。印象悪い。 明かりが入ると江戸時代の家がそこにある。上手に薬研のある製薬の部屋、真ん中に馬琴の書斎(ちょっと本が少ない)、廊下、下手に…
あかのなかからくろ くろのなかからあか あかのなかからくろ くろの… と、永遠に続く連環。絵肌はひそかに息を吸い込んでいるように見える。吸い込むということは、やがては吐く。息を吐いて、ロスコの絵は、何を語るのか。 というようなことを、きっと絵の…
「全体」「個人」とそれぞれ書いた札を作り、「個人」の札を選んだ人のことは、もうほっといて。と、ちょっとキレ気味に考えていた子供時代がありました。それを思い出すくらい、主人公ストックマン(瀬川亮)がこども。 温泉湯治場をもつノルウェーの田舎町…
スタンリー(ベン・フォスター)とステラ(ヴァネッサ・カービー)の住む二間のアパートに、ステラの姉ブランチ(ジリアン・アンダーソン)がやってくる。労働者階級のスタンリーと、地主の出身のブランチは気が合わない。暑い夏、息の詰まるような狭いアパ…
この世って地獄。ヒエロニムス・ボッシュの世界観て、そんなものらしい。赤い、血のような幕が開くと、そこには一枚のボッシュの絵が、生きたまま留めつけられている。刃に貫かれている巨大な耳、醜いブーツの足が突き出た卵、それはやっぱり矢で刺し貫かれ…
千葉佐倉のDIC川村美術館。その所蔵品の白眉、マーク・ロスコのシーグラム壁画が7点飾られているロスコルームにいる。展示室の灯りは最小限に抑えられ、目が次第に慣れるまで、絵の詳細が分からない。 はっきりいって、ものすごーく気軽な夏休み気分で佐倉ま…
じーっとみる。女王(ヘレン・ミレン)が歴代首相をみつづける芝居。週に一回、続けられる女王と首相の慣例の謁見(オーディエンス)。女王に政策の決定権はない。決められた何もかもを黙ってみているしかない。スエズ侵攻に胸を痛め、ブリタニア号の退役話…