2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧
男をみがくといいながら生きる人たちがたくさん登場する近松の物語。何とかなった人たちはわき役に、情動に負けた人たちは主人公になる。 ていうか、心中って、出処進退をきれいに、あざやかにしたいのに、そうできなかった人たちの一発逆転だったんだなあ。…
話さなくても、いいんだー。 と、思わず感心してスクリーンに声かけしてしまうくらい、わずかな言葉ですべてを語る映像美なのだった。 木陰にたたずむ二頭のラバ、その隣にいて遠く行列をうかがう二人の女。一人は白装の道士嘉信(シュー・ファンイー)、も…
舞台に出てきた4人の人間が密に立ち、軽く身体に腕をかけあう。家族。時間と空間を長く共有する人たち。愛情。平和。喜び。そして、その裏側の嫉妬、争い、哀しみ。 ユージン・オニールって人は、アメリカでとても有名な俳優の息子で、金持ちの坊ちゃんだっ…
ベッドに横たわる女が、天窓(スカイライト)からぼんやり飛んでゆく鳥を見ている。 横たわっているのは裏切られた奥さんで、一度も登場しない。けど、その光景はなぜかはっきり見える。 不倫した実業家トム(ビル・ナイ)は、奥さんが亡くなった一年後、不…
「金を儲ける」。 だあれも否定しない。金はいくらあっても邪魔にならない、なんていう。「もっと」という。誰もが単純に儲けたいと思っていた昭和後期。時代の申し子のような男、鯨井紋次(小出恵介)は盗品を売って、不動産業、芸能やプロレスの興行と事業…