2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

二兎社公演40 『書く女』

「半井うしがもとを出しは四時頃成けん、白皚々たる雪中、りんりんたる寒気ををかして帰る、」あるいは、「りんりんたる寒さをおかし、白く輝く道を帰る。」 一番幸せだった日。何度も何度も思い返す半日。それはこの雪の日だ。一葉(黒木華)とその小説の師…

新橋演舞場 『初春花形歌舞伎』

『車引』 ――なんていってるのかわからない。 幕が開くと同時に、ちょっと悲痛な気持ちになるのである。音曲が、頻りに何か言っているのに。キノコの精みたいな大きな笠をかぶった二人の人物が、花道を通って舞台に現れる。どちらも紫の格子の着物、体が大き…

三越劇場 『初春新派公演』

人生で二度目の新派観劇。一度目はまだ学生だったので三階席で明治一代女、ぜったいにぜったいに男の人からお金かりちゃダメと思って帰ってきたのだった。 二度目は三列目、何よりも驚いたのが着物と、その着こなし。普段目にする着物って、男も女も、どれも…

シアターコクーン 『元禄港歌―千年の恋の森―』

通俗って、みんなが知っていることを、たっぷりやることだと思う。『元禄港歌』、いい意味で、通俗的でした。 播州の港の筑前屋という廻船問屋、そこに江戸の出店から5年ぶりに長男信助(段田安則)が帰ってくる。祝いの席に瞽女の一行が呼ばれ、瞽女糸栄(…