2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

さいたまネクスト・シアター×さいたまゴールド・シアター 『リチャード二世』

再演。2回も感想文書けるのか。という一抹の不安はあったけど、観に来ちゃいました。この芝居が好き。まるで舞台の奥から生きてる波が押し寄せてきて、その飛沫が胸の中に飛び込むみたい。たった今ここにいると感じる。この、息をしているたったいま。 長い…

おちないリンゴ#14 『憂いある永久機関』

自分のことを、お父さんが浮気してできた子供だとずーっと思っていたら、実はお母さんの浮気の子でした。という昔の小説を読んで、爆笑していた若い日。不倫はそんなにも、自分から遠かった。浮気するならそれはお父さんだと、決めつけてもいた。 時は移って…

博多座 『坂東玉三郎特別舞踊公演』

「杵勝三伝の内 船辨慶」 一閃。ぴかりと光る稲妻のような鋭い笛の音。鼓の音、おおかわ(大鼓)の音。どの音も、その楽器の音域の、いちばん響く、いちばんいい音だ。地声って感じなのかなあ。鼓のことなんて、今までの人生で、いっぺんも考えたことなかっ…

シアタートラム 『同じ夢』

痩せた木の立つ中庭から、台所のくもりガラスに陽がさし、歯ブラシやハイターや瓶を照らす。光の調子が強くて、日常の煤けた道具が皆、映画の主人公のように見える。斜めの陽は、古いコンロの上の鍋を銀の明るい輝きと、はっきりした暗い翳で塗り分ける。こ…

野田地図 第20回公演 『逆鱗』①

昼下がりのカフェテラス、ミルクティーを注文。カップに浸した三角のティーバッグを、ぴょんぴょんと小刻みに上下動させていたら、そのぴんと張った糸の先にあるのは、何だか「潜水鵜」の誰かのような気がしてきて、 おーい もう、だめ!飲めない! こんな感…

野田地図 第20回公演 『逆鱗』②

大音量のセックス・ピストルズ、世代的に中学でパンクを浴びてる私はもうテンションが上がる。舞台は暗く、墨染の衣のような黒、上方はうっすら赤い。パンフレットのさかなクンによれば、海を数十メートル潜ると、暗闇はいつの間にかすこしあかくみえてくる…