2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

東京芸術劇場 シアターイースト 『宮本武蔵(完全版)』

世の中の大人と言われる人たちの中身って、たいていは14歳ではないかと疑っている。表側に「常識」とか「社交辞令」がくっついて、本音の「えーやだ。」とか「きらい。」を飾っているのだ。 ここに一篇の不思議な時代劇、登場人物は皆拙者と名乗り、相手を貴…

シアターコクーン 芸術監督蜷川幸雄・追悼公演『ビニールの城』

薄い透明の膜のこちらに朝顔(森田剛)が、あちらにモモ(宮沢りえ)がいる。それはヴェールを隔ててルクレチアが胸に擬した短剣のように限りなく近く、果てしなく遠い。 棚。ぎっしり並んだ人形の棚だ。こちらを見ている人形、仰向けの人形、そのだらりと垂…

ブルーノート東京 パンチ・ブラザーズ

Punch Brothers というのは、マーク・トウェインの短編から採った名前だっていうから、読んでみました。 “Punch,Brothers,Punch” (1876)新聞に載っていた、もともとは鉄道の広告の、「(切符に)穴をあけて、皆さん、穴をあけて」という調子のいい歌が、耳…

池袋芸術劇場 『マイ・フェア・レディ』

○「やあ君は...。」ピッカリング大佐(田山涼成)が驚いて声をかけると、貧しいなりに精いっぱいお洒落したイライザ(霧矢大夢)は(来たよ)というすこしいたずらっぽい、ピッカリング大佐にだけ心を開いた顔をする。こことてもチャーミングでいい。最後…

新国立劇場中劇場 『キンキーブーツ』

ワンショルダーのラメの真っ赤なドレスが逆三角形をした躰に貼りつき、露わになった右肩の発達した上腕と胸筋が白く美しく、力を込めて手を動かすたびに筋肉のしなやかさに目を奪われる、という、一体私が見てるものって何。男でもなく女でもないもの、男で…