2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

世田谷パブリックシアター 『幸福な職場 ~ここにはしあわせがつまっている~』

いい話なの。チョークを作っている会社が、養護学校の先生のたっての頼みでしぶしぶ知的障碍者を受け入れ、次第にその出会いで変わってゆく。実話だ。 出てくる俳優はみんなハンサムだし、笑わせる間合いもすごく巧いし、壁にかかった湖かなんかの絵を、へぇ…

Bunkamuraシアターコクーン 『世界』

スナックのミラーボールに、かすかに光。小さい小さい粉雪ほどの光が一つ見える。それは世界に穿った穴みたいだ。 スナックや、ラブホテルや、台所や、下宿、舞台はさまざまな貌を見せながらくるくる回る。早く回る。その頭上に歩道橋があり、寒そうに登場人…

劇団東京乾電池公演 『やってきたゴドー』

『やってきたゴドー』、初演は2007年、戯曲は2010年9月論創社刊。読み終わっての感想は、電信柱とベンチとバス停のある砂の惑星に、ウラジーミルとエストラゴンがいて、そこへ、隕石みたいに「バスを待つ女」や「乳母車の女」や「受付の二人」が、フォルムと…

パルコプロデュース 『キャバレー』

長澤まさみ、美しい。美しくてびっくりだ。自分が美しいとも知らず、無心に咲いてる花のようなのだ。体全体から、本人も予期しないような優美さが漂っている。こないだまで「きりちゃん」で、日本中のツイッターが「きりちゃんよかったむくわれて」と沸き返…

Bunkamuraザ・ミュージアム 『マリメッコ展 デザイン、ファブリック、ライフスタイル』

フィンランド。人と人とが、3メートルくらいいつも離れて歩いてる。人が少ないのだ。おしゃれなちっちゃいブローチとかつけてても、だあれも気づかないよ。お互い離れてるもん。この距離が、マリメッコを産んだと思ってた。ハーイ、私はここよ。フレンドリー…

地人会新社第6回公演 『豚小屋』

母が心を込めて作ってくれた真っ赤なスリッパと、忠誠を誓わせる鎌と槌の赤い小旗、その間で引き裂かれてしまった脱走兵パーヴェル(北村有起哉)が、豚小屋に41年間隠れ潜む物語。ではないんだな。だって原題が、「豚小屋」じゃないんだもん。「A PLACE WIT…

柿喰う客 『虚仮威』

身体能力が高くて、手足や表現にインテリジェンスがあって、歯切れがいい劇団。思えばそんな劇団、いくつも見てきたのである。観劇の時系列。広げた指先、やすやすと装置をのぼる足、いっせいに撚れる躰、それは観客である私の過去の「若さ」ともつながって…