2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

劇団黒テント第76回公演 『亡国のダンサー』

一人の男「わたし」(服部吉次)が大きな机の上に軽く手を触れる。「降りやまない雨、」と彼は言う。倒れている「わたし」を描写する。「わたし」は顔の間近に雨粒の跳ねるのを見ている。雨粒のダンス。浅い傷や深い傷、彼は動くこともできず、失血し続ける。…

新国立劇場中劇場 『近代能楽集より 葵上・卒塔婆小町』

香がたきしめてある。それともこれは花の香りなのか。外気の冷たさにすくみ上っている身体を、ゆっくり緩めてくれるようなショパンが流れている。舞台には赤い幕が襞深くかかり、照明がその幕の上に、桜の花を濃淡二色で浮き出す。背もたれに凭れながら、誰…

かぐらざかあかぎ寄席NEXT→ 落語「三遊亭萬橘」独演会

神楽坂、赤城神社。迷いようがない。地下鉄東西線の神楽坂駅1番出口を上がって左すぐ。立て看板もたってるし、赤い鳥居も見える。石段を上がりきったところに、大きなガラス窓のカフェもあるのだった。カフェから窓越しにもうつぼみを持った桜の木、蛍雪天神…

シス・カンパニー公演 『死の舞踏』

コミック地獄図絵。 途中、いや、序盤、観ながらちょっと怒っているのである。 コミックなのかー。 そんな気持ち。スウェーデンの島にある要塞に、軍人エドガー(池田成志)は妻アリス(神野三鈴)とともに住んでいる。島のお歴々とはうまくやれないため、人…

シス・カンパニー公演 『令嬢ジュリー』

子供の本の作者、リンドグレーン(スウェーデン、1907-2002)が、日本語訳されているたくさんの本の中で、たった一回、性的な関係に言及したことがあって、それは農家の主人と女中に関するものだった。その「おはなし」には作者のかすかな怒りが透けて見え…

東京芸術劇場 シアターイースト 『不信 ―彼女が嘘をつく理由』

マンションの隣の部屋の夫(栗原英雄)はフィックス、その妻(戸田恵子)はドリー、高校教師(段田安則)は手持ち、その妻の編集記者(優香)はクレーン。なんだか登場人物の視点がみんなカメラで説明できそうだ。四人四様の言い分で芝居は進行するが、どの…

ムジカーザ 『第八回 上原落語会 夜の部』

わたし開場から数分おくれた、と思ったら、もうホールはお客さんでいっぱい。寄席っぽい音楽はなしで、ムーディなダニーボーイが流れるのを、みんな静かに聴いている。今日は小学生がいないなあ。ジョン・レノンのジュリアなど、アダルトないい感じの音楽が…