2018-06-28から1日間の記事一覧

さいたまネクスト・シアターゼロ 『ジハード ――Djihad―― 』

始まる前に配られた紙に、登場人物の辿った道の地図がある。 ブリュッセル―イスタンブール。イスタンブール―キリス―アレッポ―ダマスカス。なじみがあるようでないこれらの地名の中で、一つだけ、ぴかっと光って感じられるものがある。シリアのアレッポだ。市…

博多座 『六月博多座大歌舞伎』 (2018)

夜の部の最初は『俊寛』。静かに静かに緑と柿色と黒の定式幕が開くと、そこは一面水色の(浅黄)幕。上手の隅に房を垂らした見台が見える。竹本なんだなー。と、目で確認。隣に三味線。どどどんと太鼓の音、波にも風にも聴こえる。義太夫が鬼界が島であると…

吉祥寺シアター 『日本文学盛衰史』

紙の上に横たわる例えば森鷗外、夏目漱石などの文字が、空気を入れられ、初めはよろよろと、次にはスーツなどを着て、髭を生やして立ち上がる。私が感じ入ったのは「星野(河村竜也)さん」という人物で、この人きっと星野天知なんだけど、学校で習った符牒…

丸の内TOEI  『終わった人』

机の並ぶ広いオフィスの一隅に4,5人の人だかり、一人の男が紙袋を下げ、皆のあいさつを受けている。彼の名は田代荘介(舘ひろし)、今日で定年だ。荘介は別れの挨拶を受けながら、紙袋を持った方の手をあげて、眼鏡の位置を直す。ここ、よかった。無防備で…