2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ブルーノート東京 ジョン・ピザレリ

セカンドショウを終えたジョン・ピザレリが、小さな丸テーブルの前に腰かけ、軽くお酒を飲んでファンにサインをしている。 ナット・キング・コールで聴いた曲、チェット・ベイカーで聴いた曲、勿論シナトラ、勿論ジョビン、今聴いたいろんな曲が、酵母みたい…

武蔵野市民文化会館 大ホール 『ブルガリアン・ヴォイス アンジェリテ』

不揃いな雪。堅雪、牡丹雪、どんな雪だってよく見ると形は不揃いだ。綿毛のような雪は身をゆすって回転しながら落ち、大きな雪は直線的にゆっくりと地面を目指す。細かい雪は風に流されて横ざまに下へ、下へと落ちてゆく。一つとして同じ雪片はないけれど、…

シアターコクーン・オンレパートリー2018 『プルートゥ PLUTO』

ホース、操作盤、コード。今日は最前列、緊張しちゃうなあ。車輪、基盤、スイッチ、扇風機のガード。舞台前面にしつらえられたがらくたの、さまざまを眺めわたす。トルソー、えっ、マネキンの足の先。思わず席から立ち上がってしまう。下手の端の瓦礫から、…

DDD青山クロスシアター 『ぼくの友達』

ふわっとした長めの髪にサングラス、黒いスーツに白いネクタイの青年トニー(辰巳雄大)。彼の正体はわからない。ただ感じよく笑いながら、邸宅の主イタリアン・マフィアのフランキー(田中健)に、「あなたの友達パーシー・ダンジェリーノ」の友達だといい…

シス・カンパニー公演 『近松心中物語』

気鬱。でてくると傘屋与兵衛(池田成志)は、おとりまきの弥七(陣内将)にそんなことを言われる。 舞台では亀屋忠兵衛(堤真一)と梅川(宮沢りえ)、与兵衛と女房お亀(小池栄子)の心中が二重に語られる。梅川忠兵衛が美しく散っていくのに対し、お亀と与…

日生劇場 『黒蜥蜴』

「フローティングワールド」 と、思いながらゆっくり目を閉じる。「時間の冷たい急流」を、上手から下手に流れてゆくビルの窓、舞台奥からせり上がってくるエレベーターの骨組みの映像を見ていたら、目眩が来ちゃったのだ。 たぶん、黒蜥蜴の棲む世界は、風…