2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

渋谷TOHO 『――空海―― KU-KAI 美しき王妃の謎』

陳凱歌が、精密になってる!と震撼するのであった。とても高度な映画。例えて言うなら、一つ一つの関係が地図のように厳密に写し取られ、「美しき王妃の謎」を構成する分図、たがいの透視図となって、伝奇ロマンを大きく、きらびやかに展開させる。 日本から…

渋谷TOHO  『リバーズ・エッジ』

「原作に、勝ってないけど負けてない」川柳か。 1993年、世界はもう、ざらざら、べとべとしたものを排除しつくして、つるつる、ぴかぴかしていた。景気のいい時代はそぉっと終わろうとしており、そもそも、「世界」ってものが、全く実感できなかった。どこを…

博多座 『二月花形歌舞伎』    (2018)

為政者は逃げたり自殺したり、若い信奉者は狂奔し、こどもはころされる。そういうもんかも、負け戦とか、滅亡って。と、戦争映画を見て思った次の日の『義経千本桜』。これ、滅ぶってことが、凝縮されてるなあ。 兄頼朝と仲の悪くなった義経(中村七之助)が…

スズナリ 唐組×東京乾電池コラボ公演 『嗤うカナブン』

フィルムノワール?まず、そこからだ。フランス映画じゃなくて、第二次大戦頃のアメリカの犯罪映画。『飾り窓の女』とか。それなら観た。犯罪者になってしまった大学教授が追いつめられていく映画で、いよいよ窮地に立った時、いやになって鞄からキャラメル…

渋谷TOHO 『マンハント』

控えめに言って、ジョン・ウーの『ミッション・インポッシブル2』はとても好きな映画だった。かっこいいとか美しいとか鳩が飛ぶとか、人はいろいろ言うだろうが、わたしにとってあれは「話の早い映画」だ。スピンする車のスローモーションのなかで、男と女の…

東京芸術劇場 プレイハウス 『密やかな結晶』

石原さとみに点が辛い。 なぜって石原さとみのパントマイム修業をテレビで(2012、NHK)観てるから。あの時見た舞台上での心のしなやかさ、演技のみずみずしさは、忘れられない。 今日はその石原さとみ主演の『密やかな結晶』、原作は小川洋子の小説だ。本を…

日比谷コンベンションホール 『デイヴィッドとギリアン 響きあう二人』

熊蜂の飛行、リムスキー・コルサコフ。朱赤のつるつるしたルパシカを着た老人が、背を丸めてピアノの上に屈みこんでいる。二呼吸くらいすると必ず客席の方に顔を向け、歌い、独り言を言い、凄い勢いで指を動かして、ぶんぶん飛び回って一時も休まない熊蜂を…

渋谷TOHO 『嘘を愛する女』

その朝日新聞の記事を私も読んだ。不思議な話さ。5年連れ添った医師の夫が死んでみると、その夫の名前は嘘だった。医師でもなかったし戸籍もなかった。私の夫は誰だったのでしょうか。折に触れ私も考える。新聞に載っていた誰でもないあの人は、誰だったんだ…

ユーロスペース 『花筐』

映画、すきかなあと思う。映画すきかなあ?シアターコクーンから3分くらいの所にユーロスペースあるのに全く行かず、知らずに血まみれ映画見ちゃって激怒する私は。好きなの? そういう大きい疑問符を頭の上に載せたまま、『花筐』を観に行く。 『花筐』は壇…