2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

渋谷TOHO 『プーと大人になった僕』

「おやすみのおいのり」(クリストファー・ロビンがおいのりをする)という詩の朗読レコードを、いじめっ子たちは繰り返し繰り返し、クリストファー・ロビンに聴かせた。その「面白さがすりきれて」しまうと、彼らはレコードをクリストファー・ロビンに進呈…

渋谷TOHO 『万引き家族』

この映画って、「フリーハンド」だなー。 定規やコンパスを使って作られた映画じゃない、まっすぐに引いたつもりの線でも少し曲がり、随時紙の凹凸を拾って太くなり、質感が出てしまう。「家族」「絆」ときれいに整理された「概念」を、「万引き家族」の、時…

オンワードpresents新感線☆RS 『メタルマクベス disc2』

「お父さんの芝居観たことあります。」お父さん世代でーす。 前から3列目、あとからあとから座る客の顔がみな、思わず、そして必ずほころんでいる舞台の近さ。 真夏の『メタルマクベスdisc1』の次は、この『disc2』、主人公のランダムスターを歌舞伎俳優の尾…

劇団時間制作第十七回公演 『白紙の目次』

まず、劇場の大きさに比して、声が大きすぎる。頑張ろうという気持ちが声に出てしまっている。頑張る気持ちは集中力に使おう。チラシにあらすじが書いてあるが、それが面白そうでなく、「テーマは『依存』。」ときちんと説明されていて、そんなことは観るほ…

東京富士美術館 『長くつ下のピッピの世界展  リンドグレーンが描く北欧の暮らしと子どもたち 』

「『ピッピ』シリーズが人生を変えた、と語ってくれた人も大勢います。でもね、最高のお賞めの言葉は、あるときだれとも知れないご婦人が紙きれに書いてくれたことづてです。『暗鬱だった子ども時代を、輝かせてくださって、ありがとうございました』。これ…

る・ばる Vol.24 さよなら身終い公演 『蜜柑とユウウツ ――茨木のり子異聞―― 』

木造モルタルカンカンアパートに住んでた頃、夜中だったか、早朝だったか、友達がぽつりと言ったのだ、「私あんなに芝居が好きじゃないもん」。「あんなに」のところにる・ばるのどなたかの名前が入り、それはもう大昔のことだけど、今回劇場に来て茨木のり…

池袋芸術劇場 『贋作 桜の森の満開の下  坂口安吾作品集より』

「芸術の神は嫉妬深い」天才画家は机にそう書いていたが、毎晩紅燈の巷に出掛け、早くに死んだ。 坂口安吾と矢田津世子は、背中にその芸術の神をおのおの背負ったまま向かい合い、恋愛は5年かけて1ミリくらいしか進展せずに終わった。安吾はいい作品をたく…

明治座 『劇団創立80周年 梅沢富美男劇団特別公演』

「プレバトのおじさん」とかおもっていてごめんなさい。梅沢富美男凄かった。 二枚目で踊るとき、美女で登場するとき、 (なんなのこの人なんなのこの人なんなのこの人)という言葉が頭をくるくる回り、ちょっと思考停止した。 あの脱力、っていうかリラック…

新橋演舞場 『オセロー』

黒塗り?オセロー(中村芝翫)はムーア人で、一幕でさんざん見下されていて、二幕目、三幕目にそれが毒が回るように効いてくるというつくり。ということは、黒く塗らなくていいんじゃないの?一幕の蔑視が、とても鋭くよくできているし、なにより、オセロー…

彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール 『大塚直哉レクチャーコンサート J.S.バッハ⦅平均律クラヴィーア⦆の魅力 ~ポジティフ・オルガンvsチェンバロ その1~』

月~金朝6時からのNHKFM『古楽の楽しみ』を聴いてる以外、私とチェンバロの接点はない。 ――と、思っていたけど、よくよく思い返したら、一点だけありました。ホミリー(借り暮らしの)が、屋敷の客間のハープシコード(チェンバロのことね)のうしろの羽目…

ハイバイ15周年記念同時上演 『て』

「あれどうしたの、顔すっきりしているよ」昨日『夫婦』を見て帰宅すると、家族がそんなこと言ったのだ。すっきりしたーめっちゃすっきりした、自分の中の一部が成仏したみたいにすっきりした。今日はその前段、ばらばらになっている荒んだ家族が、もう一度…