2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧
個にして全、全にして個。オデュッセウスの「都合二十年」に及ぶ長い帰還の旅。一人の少年が、凍りついた一歩をどう踏み出すかの物語。 この三つがうまく重ねあわされSF的に進行する。と、だれもかれもそう思っている芝居だが、「そこじゃねー。」と小さい声…
脚本は手堅い。役者もきちんと演じる。結果おもしろい。 なのに、文字が話し言葉になるところで、めっちゃまずいことが起きていると感じる。例えば、「え。でもさ。」という言葉は、はっきり「芝居の台詞」として発せられる。言ってみれば空間に穴がない。風…
曇り空のエビミツ、ついふらふらと、ラベンダー色のマニキュアとか買うのである。今年のライブマジックは、おっとりした人工衛星の心持で、つーと見学した。 まずバラカンさんのオープニングのあいさつ、13:00の8分前。8分できっちり、テキーラベースのスペ…
『ビニールの城』、これ、「女って何か」「他者って何か」っていう話かなあ。 昔々、「わからないこと」「不条理なこと」を皆、女のせいにしていた時代がありました(『イヴの総て』をご覧ください)。男たちがビニールの包装越しに出遭うビニ本の女、モモ(…
流木を4本、交差させて組んだ束(つか)に、電球が仕込まれてかがり火のようになっている大きい照明が四つ、舞台上にランダムに置かれ、舞台前面にはまつぼっくりが点々と落ちていて、一つは小さなかわいいケージに入っているし、上手(向かって右側)には小…
ニーナ(たち)の語る台詞。 「その世界の中には、あなたとわたししかいない」 きびしく、かっこいい。一人の人間の心の中の分割された一つ一つをニーナ(たち)と男(=壮年、内田健司)で象徴し、ニナガワの心、心象、出来事をそれぞれ描き、結び合わせる…
遠藤周作のキリストの評伝は、確かキリストの死で終わっていて、そこから先は「信仰」の問題である、と言ってたような。『ジーザス・クライスト=スーパースター』は「信仰」ではなく、一人の男の苦悩の生涯を扱っているから、同じ形を取っているのだろう。 …
hothouse flowers 1.plural of hothouse flower えっ温室育ちのお姫様たちって意味ー。と、改めて驚いたところでクアトロ着。 くだけた格好の、或いはすこしゴージャス風味の服で、アイルランド人の人々が会場のそこここに散見される。今日のライヴはアイ…
市松人形のように切りそろえたおかっぱ頭をゆらゆらさせ、ひとつ、ふたつ広瀬すずが台詞を言うと、唇がまるで手塚治虫の描く王女様のそれのように光っている気がする。分厚い髪の間から覗くあごは白く、首筋は可憐に細い。まるで「乙女心」に服を着せたみた…
藤原竜也、声嗄れてるやん。と、心の温度が零下にまで下がる。声がちゃんと出てる、その声に表現力がある、芝居ってそこからじゃないの。例え野田秀樹だったとしても、声嗄らしてたら評価しない。今日は二階の最後列だったのでなおさらだ。声がしゃがれてい…
頭でっかちに考えると、「ああ、セックスワーカーね。」とクールなくせに、よく知りもしない人がフーゾクで働こうとすると、全力で止める。とても矛盾した、価値観の揺れてる自分。私を含めた世間の揺れを映して、この芝居の「トルコ嬢」の述懐も海の上の艀…
心のチューニングがめっちゃ難しいミュージカルであった。シェークスピアの、何を思ったか王様と三人の学友、という多めの人数を踏襲し、そのうち二人は髪型が似て、その上途中でパジャマに着替える。混乱してしまう(見分けられない)展開だ。なぜか開演前…