2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

2019年7月シアタートラム公演『チック』関連企画 戯曲リーディング 『イザ ぼくの運命のひと』

ヴォルフガング・ヘルンドルフ(1965-2013)ドイツの作家、脳腫瘍を発病し、手を尽くしたが回復の見込みがなく、拳銃自殺。 スクリーンでそんな作者の説明を読みながら、舞台を見ると、中央に上手と下手で少々高さの違う二重が置かれていて、アヒルの親子の…

M&Oplays produce 『二度目の夏』

岩松了版『レベッカ』。そう思ってみると水面下でこわいことがいろいろ起こっているような気がする。水面下のレベッカ。『レベッカ』って、ある大貴族のもとに嫁いだ女の子がえらい目に遭う話。屋敷は前の奥さんの気配でいっぱいで、夫は自分を愛してはいな…

新国立劇場小劇場 『骨と十字架』

よーく調べたね。お疲れ様。解散。 …ってなりました。聖職者の登場人物が5人、名前が呼ばれるのはたったの二回ほど、歌も出ないし踊りもない、しずしずと会話が進行するだけなのに、観客の注意をきちんとひきつける脚本だ。 ティヤール神父(神農直隆)は古…

彩の国さいたま芸術劇場開館25周年記念 世界最前線の演劇3 『朝のライラック』

事件、事故、災害、戦争、ニュースでその死者のことを知ると暗い気持ちになり、数日もその気分から抜け出せないことがある。でもさ、他人事だからいつかは忘れる、思い出せばまた暗い気持ちだけど、彼ら――死者――は忘れられていく。では、こんな風に死にたく…

東急シアターオーブ リンカーン・センター シアタープロダクション 『王様と私』

子どもの頃映画観た時は、どう見ても先生と王様が結ばれるのが王道だと思った、王様は物語の都合で死んでしまったような気がしていた。その影として悲恋が一つ入ってるよね。 1951年ブロードウェイ。まだ公民権運動も何も起きてない。アンナ(ケリー・オハラ…

ユーロスペース 『新聞記者』

杉原拓海(松坂桃李)。外務省から出向して「内閣情報調査室」で働く彼の役名を見て、すぐにあの「スギハラ」、本国の指示に従わずユダヤ人にビザを発行し続けた杉原千畝を連想する。組織に異を立てて人命を守る人、一体そんな人、そんな役人まだ日本にいる…

KAAT神奈川芸術劇場〈中スタジオ〉 KAAT×地点 共同制作第9弾 『シベリアへ!シベリアへ!シベリアへ!』

フットライトが明るく光りまた暗くなる。天井(天井?)に「閊えた」白い風船が四つ、それより低い所に閊えた風船が1つ。スチールの骨組みの上に板が渡され、ドアが落とし戸のように板のあいだに寝かされている。上からと下から同時に生えている白樺、舞台の…

シアターコクーン bunkamura30周年記念シアターコクーン・オンレパートリー2019『美しく青く』

あァオォキィー。青木保(向井理)、顔ちっちゃくて背が高い、とてもハンサム。それがマイナスに働く。もっと顔よくみせて。 赤堀雅秋の芝居では、皆俳優が「自分」に没入し、自分に重さをかけて、綱一本で体を支えなければ、全部がうまく働かない。向井理は…

ブルーノート東京 パンチ・ブラザーズ  (2019、7月)

三角形にとんがった、ダイヤモンドの台座のようなマイク受けに、楕円の大きなマイクがただ一つ載る。あの三角の受け皿が、性能のいいマイクを雑音から守るんだね。 時間通りにパンチ・ブラザーズがさーっと舞台に上がる。下手(舞台向かって左)から、フィド…

彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール 『大塚直哉レクチャー・コンサート オルガンとチェンバロで聴き比べるバッハの〈平均律〉  Vol.2「フーガ」の苦しみと喜び』

背広の若い人が、丁寧にポジティフオルガンを乾拭きして去った。調律が終わったんだね。チェンバロにもたんねんな調律が行われている。二段になった鍵盤は、弾きこなされたあまり、一つ一つに名前がついてそうに見え、個性が鍵盤一本にも出ちゃってる。つま…

新橋演舞場 『笑う門には福来たる ~女興行師 吉本せい~』

「藤山直美が観客怖がっちゃって、ぜんぜん前に出てこない」 1998年、『寝取られ宗介』。まさか売店のおばちゃんが、耳ダンボにして聞いているって思わないもん。 あれから20年、私は藤山直美にとうとう再会できました。「こいつやったんか」と言われてると…

東京芸術劇場 シアターイースト 『ウティット・ヘーマムーン×岡田利規×塚原悠也 プラータナー:憑依のポートレート』

セノグラフィー=舞台美術のこと。 あー、はいはい、学がなくてごめんなさいね、でも緊張しながらスマホで調べて、ちょっと笑った。新しい時代の難しい演劇には、新しい呼び名が必要やんねー。 大体岡田利規という人がよくわからない。それは彼の文章(本)…