2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

アップリンク渋谷 『HITSVILLE:THE MAKING OF MOTOWN メイキング・オブ・モータウン』

デトロイトの自動車組み立て工場の生産ラインで働いていたベリー・ゴーディが、音楽レーベルを立ち上げる。自動車の完成までと同じような工程(アーティストの発掘、育成、品質管理など)を経て、爆発的な勢いでヒット曲やスターが生まれる。ゴーディの抜け…

ヒューマントラストシネマ渋谷 『ストックホルム・ケース』

「どうしてそうなったかわからないが、そうなっている。」っていう、説明の難しい、勢いのついた事態が、世の中にはままあるものだが、この映画もそんな感じだ。頭の中で最初から、何度も映画を転がしてみるけど、「そうなったわけ」がわからない。ストック…

劇団俳優座 No.343 『火の殉難』

あれっ、高橋是清がアメリカで「奴(やっこ)に売られた」という話は?高橋が幼時、馬に踏まれそうになった「強運」の話は? どっちも影も形もなくて、芝居は金融と戦争、そしてテロについて詳しく物語っていく。 うーん。よくわからん。古川健は司馬遼太郎(…

新橋演舞場十一月公演 『女の一生』 

森本薫、1946年10月34歳没。前年1945年10月のエピローグで幕を閉じる『女の一生』は森本の代表作。そうでしょう。主人公布引けい(大竹しのぶ)のみならず、脇役のそれぞれに複雑な味わいがあり、スルメのようにいつまでも頭の中で歯噛んでいられる。 日清戦…

渋谷HUMAXシネマ 『十二単衣を着た悪魔』

えっパンフレット売り切れ。客の入りがいいのかも。 就職試験に連敗中である雷(らい=伊藤健太郎)は、弟(細田佳央太)の京大医学部合格でへこむ。彼女にも振られた。現場の搬入アルバイトとして参加した源氏物語展(製薬会社がついている)でもらった源氏…

赤坂ACTシアター 『NINE』

透明で、皺の寄っているスクリーンが、客席と舞台を隔てる。この皺、この歪みが、客席と舞台をどこまでも遠ざけ、スクリーンにはACTシアターの客席が映る。スクリーンが揺れると、客席が湯気のように揺れる。蜃気楼。それとも幻。それとも映画。その向こうに…

北沢タウンホール 伊東四朗トークライブ 『あたシ・シストリー』

舞台の上がきゅっと、昭和で詰まってる。竹の庭門。物干しざおが竹のとビニールのと二段にかかる。ブリキのバケツ。上手の部屋には茶箪笥、その上に黒電話が乗っかっている。縁側の体(てい)で座椅子が四つ設けられ、ふっくらした座布団がある、と、なんか…

東京芸術劇場 プレイハウス 芸劇オータムセレクション イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出作品上映会 『じゃじゃ馬ならし』

まず、オランダで記録映像撮った人(と、今や全世界の演劇配信映像を撮るすべてのひと)にいっときたいのだが、ファーストシーンはあなたが考えている倍は大切なので、コマを割ったりしないでほしい。インタビューがかぶるとか最悪だ。まさにinvasionである…

東京芸術劇場 プレイハウス 芸劇オータムセレクション イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出作品上映会 『オープニング・ナイト』

三重の包み紙で包まれたがらんどうの籐製のボール(見た目セパタクロー!)の中に、赤いスーパーボールが飛び込む、という、人に説明しづらいイメージでこの芝居を観ました。包み紙は三重の現実、籐製のボールは主演女優ミルトル(Elsie de Brauw)、スーパ…

東京芸術劇場 プレイハウス 芸劇オータムセレクション イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出作品上映会 『声』

ハロー?という女(Halina Reijin)の電話を掛ける声が、音楽でかき消されそう。いつお芝居が始まったのか、正確にはわからないほどだ。私たちが生きる実人生と、舞台の女の人生が早くも混ぜ合わされ、二重になっている。しかし、舞台上には四角いがらんどうの…

渋谷パルコ8F WHITE CINE QUINTO  『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』

おうちに帰り着くまでが遠足です、とどこの町でも先生が口にしていたせいで、今誰かがそういうと笑いが起きる。お菓子を先に食べちゃう子、寄り道する子、鼻血出す子、いろいろだったよね。笑ったりはできないけど、ザ・バンドの軌跡は「帰れない」遠足みた…

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース 『人類史』

虚空のように真っ黒の舞台。上手の奥から、四つん這いの生き物が一つ現れる。このサピエンス(知恵ある者)以前の何かであるらしい者たちの這い進む姿が、とてもかっこよく、美しい。頭より高い場所はどこにもないように見え、低い姿勢で斜め前に出す足先の…