2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

下北沢 小劇場B1 good morning N°5 『異常以上ゴミ未満、又は名もなき君へ』

「舞台」と「客席」のあいだに、ぴんと張られたビニールの幕がある。うつくしい水槽。黒いTシャツの下のスカートが、色とりどりにきれいで、熱帯魚みたいで、もっと見たいけど、役者とすぐ目が合っちゃうので、非常に見づらい。しかし、この芝居の始まる前が…

映画 『リスペクト』

ジェニファー・ハドソンといえば、『ドリームガールズ』(2006)の、不満が多くてわがままな、ドリームズ(シュープリームスをモデルにしたと考えられる三人組の歌手)の一員だ。「わがまま」で「総すかん」の目に遭うにもかかわらず、公開後十数年たってぼ…

本多劇場 ナイロン100°C 47th SESSION 『イモンドの勝負』

いろんなものがシームレスに、なだらかに続いているなー。『ちょっと、まってください』の時は、その先にあるのは不条理な、別役的世界だったのだが、今作では、対立する概念が、毛糸編みのミトン手袋みたいに、手首のところで一つになっている。すげーよ、…

東京芸術劇場シアターイースト NODA・MAP番外公演 『THE BEE』

殺人犯の小古呂(おごろ=川平慈英)って、実在?てか、居るの?と終演後、頭の中が?でいっぱいになる。そして、全然別の空間の、全然関係ない小さい子供の震え声の問いを思い出す。 ――鬼って生きてる? 子供のにいさんは、やってることの手も休めず、生き…

新国立劇場小劇場 『イロアセル』

『檻』に入っているのはだれか、っていう芝居のような気もするし、そうでないような気もする。寓話のような気もするし、そうでないような気もする。『イロアセル』は不思議な芝居だった。なにしろ、面白かったような気がする一方で、つまらなかったような気…

PARCO劇場 パルコ・プロデュース2021 『ザ・ドクター』

おもしろいじゃないの!ずーっと目の前の舞台に釘づけだった。医師ルース・ウルフ(大竹しのぶ)の患者が死に瀕している。患者は14歳で、中絶に失敗した。両親は海外で、飛行機でこちらに向かっている。両親の意を受けたといって、神父(益岡徹)が最後の典…

世田谷パブリックシアター 〈りゅーとぴあ×杉原邦生〉KUNIO 10『更地』

ポストトーク出演の白井晃は、11月14日開幕のKAAT『アルトゥロ・ウイの興隆』を控えており、11月28日には、来年1月の『マーキュリー・ファー』のチケットが一般発売される。紹介せんと駄目やん、杉原邦生。 劇場に入ると、奥に向かって高くなっている白い二…

Bunkamuraシアターコクーン 『パ・ラパパンパン』

初めに断わっとくが、私は11月に、それも初旬に、クリスマスソングを流す店が嫌い。クリスマスソングかければ、客入りが上向いて、店が輝くのか。店のアンケートに「まだクリスマスじゃない」と書くよ。木枯らしも吹かずうららかな陽気の今日、『パ・ラパパ…

Bunkamuraル・シネマ 『ジャズ・ロフト』

写真には音がない。あたりめーだと思うとこだけど、36歳で既に写真界(?)の大立者となっていたユージン・スミスにとって、そのことは痛切に意識されていた筈。大甘(おおあま)の写真だと、写真評論家が口元をへの字にする有名な『楽園への歩み』は、3,4…