2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

観劇三昧 小松台東 『ツマガリク~ン』

朽ちかけの、電線を巻き取る巨大ボビン(?)が、ちょっと怖い。古いベンチや機材が投げやりに積み上げられ、フェンスで仕切られている。このくすんだ廃墟を隔てて、休憩用の屋外すいがら入れと、ベンチが中央にある。ベンチだけが、あざやかな青空色。 上手…

配信 DULL-COLORED POP 『丘の上、ねむのき産婦人科』

ずいぶんよく調べて書かれている。医療の監修や、ジェンダーの観点からの監修も入っている。だからたぶん、あきらかな思い違いというのはほとんどないのだろう。谷賢一は善意の男性で、出産の「当事者性」を掘り下げながらこの作品を書いた。19歳の専門学校…

シアタートラム ケムリ研究室no.2 『砂の女』

幕開け直前、オペラ『道化師』の「衣裳をつけろ」がモノラルで流れる。独りよがりにも聴こえる悲壮なテノールだ。あっそうだ、公房の『砂の女』ってモノラルで、単眼だよねってなった。冒頭の「地の文」は男(仲村トオル)の声の高さにそろえてあり、家を出…

Bunkamuraオーチャードホール DISCOVER WORLD THEATER vol.11『ウェンディ&ピーターパン』

ミスター・ダーリング(堤真一)は登場しながらもう、ミセス・ダーリング(石田ひかり)の唇の上に浮かぶ「謎めいたキス」について語る。あそこ、きもだね。戦争ごっこの仲間に入れてもらえない女の子のウェンディ(黒木華)は、「おねがーいなかまにいれて…

配信 大パルコ人④マジロックオペラ 『愛が世界を救います(ただし屁が出ます)』

真面目にいっちゃうと、あの「宮下公園リニューアル」は、看過してはいけない問題だった。企業に委託し、再開発して「入れない人」をつくる。公共の空間なのにだよ。メンタリストの素(もと)だよね。宮藤官九郎はむきつけにそんなことは言わない。しかしオ…

『ほぼ日の學校』

「サブスクリプション意味がわかんねえ~」(桑田佳祐)と、いう世代であるために、サインインがめっちゃ大変。一か月無料。入るときに「自分に名前をつけろ」といわれてすんごい恥ずかしかった。自分で自分に名前をつける。なにさ。はずかしい。慣れない。…

彩の国さいたま芸術劇場小ホール さいたまネクスト・シアター最終公演 『雨花のけもの』

――あー、バット折れてる。 と、作の細川洋平にも、演出の岩松了にも、ネクストの俳優たちにも、言いたい感じ。不能と去勢の登場する世界、それを権力が規定する世界、岩松は「善悪詳らかならざる世界」を提示したかったのか。その結果人物の欲望がぼやけてし…