2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

新宿ピカデリー 『キネマの神様』

「香港映画みたいな人がいる」 「え」 レストランで振り向くとそれは沢田研二であった。えー沢田研二ー。幼稚園の時好きだったタイガースー。とその時私赤くなってたと思うけどそんなことはどうでもいい。それは12、3年前、沢田研二は恰幅のいい(ていうか太…

すみだパークシアター倉 KAKUTA第30回公演 『或る、ノライヌ』

断念の物語。と纏めるのは簡単だが、まずは題名の「ノライヌ」でひっかかってしまう。ノライヌ小学三年以来見たことないよ。ってぶつぶつ呟きながら舞台を見ると、肩寄せ合うように並ぶ5本の電信柱が、ここは重層的な空間ですよと控えめに教えてくれる。 201…

TOHOシネマズ日比谷 『マスカレード・ナイト』

「練りに練った緻密な脚本」(パンフレット)。何に向かってどう練った。推理物だから筋は練ったのかもしれん。しかし、台詞はどうよ、台詞は。新田刑事(木村拓哉)の「あなたのその眼は…」という大切な台詞、係り結びがおかしいぞ。作品以前に文法が問題、…

TOHOシネマズシャンテ 『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放送されなかった時)』

それはコンクリートに生えたバラのようだった、と回想される。 1969年、ちょうどアポロが月に着陸した日にも開催されていた、ハーレム・カルチュラル・フェスティバルは、高まる黒人の不満(リベラルな政治家や黒人解放運動の重要人物の暗殺、いつになっても…

シアタートラム 劇団青年座第242回公演『ズベズダ――荒野より宙(そら)へ――』

日露戦争でもスターリングラードでも、ロシア(ソビエト)の兵はたしか「ウラー」と叫んで敵に攻め寄せてたよ、と思っちゃうのは、この『ズベズダ』のソビエトのロケット研究者たちが歓声を上げる三つのシーンのうち、最後の一つでしか「ウラー」と言わない…

東京芸術劇場 シアターイースト 『カノン』

閉塞感!出られない!という気持ちが、冒頭、舞台に飛び出してきた役者たち(見たことあるようなプロジェクション・マッピング)を見ながら付きまとう。空の額縁に取り囲まれたここは、テレビやネットに心を支配されている私(或いは彼)の、たった一人の部…