2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

新宿シアタートップス TAAC 『GOOD BOYS』

『にんじん』(ルナール)裏バージョン、とアゴタ・クリストフの作品を読んでちょっと思ったけど、タカイアキフミのこの作品は、『悪童日記』よりも『にんじん』に似てないか?「戦争」や「運ばれてゆく人」を描くことで、世界が外へ外へと吹きこぼれていく『…

THEATRE1010 『風が強く吹いている』

加速。「(略)…その時、自分の目に周囲はどう映り、自分の肉体はどれだけ血液を沸騰させるのか。なんとしても未知の世界を体感したかった。」 「走(かける)は自分が、相手との間合いを詰めようとしていることを感じていた。海中に超音波を投げかけて、そ…

新宿ピカデリー 『とべない風船』

三浦透子の撮られっぷりが凄い。古代文明の女神像のような顔で映っている。隠してない。守ってない。三浦透子自身であることを貫いていて、「三浦透子」という観音開きの箪笥の中に、「女の子」「俳優」が入っている。その逆じゃないのだ。どうやって至った…

坂本龍一 『12』

プールに入ると考え事をしちゃうから、頭の中で『ラストエンペラー』のサウンドトラックを、最初から最後まで流していた。「水の下にも都がある」感じしたなあ。すくわれた。その程度に、ファンです。「Energy Flow」も草臥れた時聴くんだけど、曲が高まって…

Bunkamuraシアターコクーン 彩の国シェイクスピア・シリーズ 『ジョン王』

通路沿いの席の足元に、ゴールデン・レトリーバーの盲導犬が静かに丸くなっている。すごく運のいい人と関係者が座る真ん中の通路からすぐの列に、タブレットが設えられ、聴こえにくい人のために字幕を提供する。だれがおもいついたのー、いいやんこれー、親…

東京芸術劇場プレイハウス 『宝飾時計』

人の躰の中には、行きつ戻りつする時間、「息づく」時計が棲んでいる。灰色に停止したり、手にとれるように蘇ったり、こつこつ進んだり、人間を振りまわし、人間に振り回されながら、時計は生きる。その上、この『宝飾時計』という芝居の中で演じられる「宝…

東急シアターオーブ 『ニューイヤー・ミュージカル・コンサート 2023』

今日の主役の四人(ベン・フォスター、アダム・ジェイコブス、レイチェル・タッカー、真彩希帆)が歌う、まるっきり序盤の、 「The world is a stage, The stage is a world of entertainment!」 のとこで、はやばやと泣いている。うんうんそうだよねー。そ…

下北沢 ザ・スズナリ 劇団東京乾電池公演『十二人の怒れる男』

あれ宮口精二(太いズボンに目に痛いような白いシャツの50年代)出ないの?的な、全体がセピア――白黒の映画の中へ入ってゆく感じ――の作り。そして、子供であった時より父になってからの人生の方が鮮明な人間の演出だ。冒頭、少年(19歳となってるが――高田ワ…