2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ザ・スズナリ NYLON 100℃ 48th Session 『Don't Freak Out』

家父長制を哄笑するおんなたち。 『砂の女』のあの男は、砂の中に閉じ込められる一方、居心地の良い巣穴で、「女」に世話され、一人で過ごす自由を得た。彼は「お世話」を疑わない。『Don’t Freak Out』の父天房征太郎(みのすけ)は、女中部屋から地下に降…

キノシネマ天神 『銀平町シネマブルース』

映画1000本みてるボーイズクラブの映画。って思っちゃったよ。主人公の猛(小出恵介)は無職で、ホームレスの佐藤(宇野祥平)と大変近い境涯の人として登場する。底辺への畏怖とシンパシーを、「映画を見ること」が支えてくれる。猛はカルトで知られる映画…

博多座 二月花形歌舞伎 『夢見る力』 特別舞踊公演

花道がシャリリと開いて、猿之助が紋付き袴で舞台へ急ぐ。右手でマイクを持ち、左手を左の腰辺りに添えて、威儀を正してご挨拶する。コロナで一ヶ月の博多座興行が14日になったこと(『新・三国志』ね)、1000回の稽古より一回の本番の方が役者を育てること…

博多座 二月花形歌舞伎 『三代猿之助四十八撰の内 新・三国志 関羽篇』

幕一面に漢文の白文がある。読み下せはしないけど、三国志の関羽の容貌に触れ黄巾の乱を語り、劉備玄徳、関羽と張飛が交わした桃園での、生死を共にしようという誓いのことまでが書かれている。『三国志』かぁ。知り合いは熱烈なファンだけど、私は全然読ん…

Bunkamura DISCOVER WORLD THEATRE vol.13 『アンナ・カレーニナ』

「あの」、『アンナ・カレーニナ』の上演台本化は大変だっただろうと思うのだ。じっさいよくできてる。すべてが入れ子のように仕組まれて、アンナ(宮沢りえ)――亡霊の中に生が、生の中に愛が、愛の中に嫉妬が、そして憎悪が、執着や苦しみや死や、喜びや性…

PARCO劇場 PARCO劇場開場50周年記念シリーズ 『笑の大学』

んんんん、全国巡演版(98年)を観てます。あの時も、頭の上に大きく「?」出るような作品でした。受けてたし、テンポよく、軽快で、息があってたけど、時代と「ずれていた」。まだ民主主義が大事にされ、肝心なことがこそこそ決まったりしないころだったの…

あうるすぽっと 木ノ下歌舞伎 『桜姫東文章』

ケータイの画面の中には、深い深い海、乾いた水が静まっている。そこでは四六時中見えない雨が上から下に降っていて、その重力の雨のせいで誰もが合羽を着なければならない。 劇場は水のないプールであり、繁栄した後に干乾びてゆく都市を表わしている。ここ…