2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

新国立劇場小劇場 『エンジェルス・イン・アメリカ』第一部「ミレニアム迫る」第二部「ペレストロイカ」

棺が一つ舞台に置いてあり、房付きのビロードのような黒っぽい幕がかかってる。その脇にろうそくがぽつんと、白い芯をオレンジ色に透かして灯る。幕は案外と雑にかけられていて、次から次へと矢継ぎ早に死ぬ、たくさんの死者を思わせる。 わたしたちは棺の中…

配信 大人計画 ウーマンリブvol.15『もうがまんできない』

塔屋に落書きいっぱいのおんぼろビル(サウナとお笑いの劇場がある)と、最新のマンションが軒を接して建っている。そこにアナログ時計が一つ見え、「流れる時間は同一ですよ」と観客に教える。おんぼろビルの屋上では、出番を控えるお笑い芸人のコンビ(サ…

TOHOシネマズシャンテ 『オットーという男』

管理したい男、オットー(トム・ハンクス)。半年前に妻ソーニャ(レイチェル・ケラー)を失い、定年を迎え、その管理欲はいよいよ、怒りのこもった厳しいものになっていった。通りに入ってくる車に目を光らせ、落ちている紙くずをチェックし、ごみの分別に…

TOHOシネマズシャンテ  『ザ・ホエール』

この世の全てはぶれている。 多義的なのさ。死にかけているチャーリー(ブレンダン・フレイザー)は、272キロの巨体である。彼の「霊と肉」は揺れている。鯨を追うエイハブ船長なのか?鯨なのか?チャーリーの死んだ恋人の妹リズ(ホン・チャウ)は、彼を…

渋谷TOHO 『生きる LIVING』

走りまわるロンドンバス!真っ赤で二階建て!あっちへこっちへ動くバスに、一瞬目を閉じた。わたしもちょっと、「生きてない」かもなー。悲しいこと、辛いこと、疲れているとき、人は心の目を閉じがち。いちいち敏感に心を動かす(赤いバスのようにね…)のが…

鶴岡市立加茂水族館

鶴岡市立加茂水族館。年中無休9時から17時まで、最終入館16時、一般入館料1000円(団体900円)小中学生500円(団体450円)幼児無料。だがすべての情報が一歩入った途端消える。「クラゲアイス」。クラゲアイス?売店に並ぶアイスクリームに吸い寄せられる…

酒田市美術館 酒田市美術館特別展 『熊谷守一 いのちを描く』

「景色がありましょう。景色の中に生きもの、例へば牛でも何でも描いてあるとするのです。それが絵では何時でもそこに居るでせう。実際のものは、自然はそこにゐないでせう。その事の描けてゐる絵と描けてゐない絵とあると思ひます。あなたは此処にゐるが、…

小劇場 楽園 演劇ユニット「あやとり」第2回公演 『そこに、いる』

何度も何度も台本を読み返して推敲し、無駄なく芝居を立ち上げ、たくさん稽古したのがわかる。開演前のお客様への諸注意が、少し震える、遠くからの通信のように聞こえることからも、考え抜かれていることは明らかだ。どこかの星に、着陸した六人の男女は、…

東京ガーデンシアター BOB DYLAN『"ROUGH AND ROWDY WAYS" WORLD WIDE TOUR 2021-2024』

ううー。昨日(11日東京公演初日)、すっごい良かったらしいじゃないの。 何かの交響楽のしっぽが鳴って、バンドの全員がささっと舞台に上がり、何かひずんだおと、ボーカルなしで音を出す。そしてWatching The River Flow。ギザギザしてる。ボブ・ディラン…

PARCO劇場 PARCO劇場50th Anniversary 『ラビット・ホール』

三層に仕切ったたいへん理知的なセット、下手第一層はしゃれたダイニングでアイランドキッチンがあり、二層目は何か透明の通路と、棚とカップボードの部屋が見え、一層目と三層目をぱっと見、ケージのような階段がつないでいる。このセットの意味合いが、な…

新宿ピカデリー 『仕掛人・藤枝梅安 第二作』

映画の「天」「地」を、豊川悦司の演じる梅安が、よく支えている。小細工しない。大らかに立っている。成長したねえ。 その代わりと言っちゃなんだが、あとはいろいろテレビっぽい。これテレビ局の企画だよね。菅野美穂の前半の表情が動きすぎで、片岡愛之助…

五島美術館 『春の優品展 古今和歌集を愛でる』

手習いしたことない。硯洗うのだいきらい。そんな人が、上野毛駅徒歩5分、界隈の家々がゆったり建つ、五島美術館に来ました。ウグイスが鳴いている。しずか。今日の美術館の特集は、『春の優品展 古今和歌集を愛でる』だよ。書だねぇ。 まずね、作品が傷ま…

アップリンク吉祥寺 『THE FIRST SLAM DUNK』

「スラム」「ダンク」ってなんですか?…そこからです。バスケットのわっかにジャンプしてボールを叩き込むことを言うんですね。ダンクシュート!って呼ばれてるやつですね。この映画の中には、主人公リョータ(声:仲村宗吾)たちの湘北高校と、秋田の山王工…

アップリンク吉祥寺 『コンペティション』

おっそろしく自分「に」ピントの合った人たちが、自分「の」ピントを合わせるべく、戦う映画である。大金持ちの老人スアレス(ホセ・ルイス・ゴメス)は、自分の名を後世に残すため、映画制作を思い立つ。いま旬の映画監督ローラ(ペネロペ・クルス)に監督…

紀伊國屋サザンシアター オールナイトニッポン55周年記念公演 『たぶんこれ銀河鉄道の夜 ~The Night of the Milky Way Train(right?)~』

上田誠によって、宮沢賢治の文章がうたわれる。きれいに、いい感じに、またはラップをうまく使い、ちっともいやではない。しかし、家に帰って手を洗いながら、「赤い目玉のさそり~」と、宮沢賢治作詞作曲の星めぐりの歌を歌うと、今日見てきた芝居がとんじ…