ちょっと休憩

煙草の煙みたいに立ちこめる愛。というわけで、パンホーチョン監督の『恋の紫煙』(2010、香港)を見た。公共の場での喫煙が制限された2007年の香港、屋外の喫煙所で知り合った、ジーミン(ショーン・ユー)とチョンギウ(ミリアム・ヨン)の微妙な恋。日本で見かける喫煙所のどの人も、わき目も振らずに煙草に没頭しているけれど、この映画の風も通らないようなうらぶれた喫煙所では、みんな和気あいあいと煙草を吸っている。楽しそうだ。噂話を披露しあっている、というのも、ちょっとほのぼの。ジーミンとチョンギウは、まるで煙草の煙が消えるのを恐れているみたいに始終煙草に火をつける。煙が愛なのね。ジーミンは彼女と別れたばかりで、チョンギウは彼が変わると大変だから、という理由で5年も一人の男と付き合っている。チョンギウは何となくジーミンにつめたくしていて、でも、ジーミンがストライクな返答すると、ふふっとこっそり笑ったりしているのである。ひどい。まあ、そんなこともあるか。二人は段々に近づいてゆく。

 と、チョンギウの器量のよくない友人が登場。ネットで(?)知り合った台湾人に振られる。ここで、ふられてるよー、と力説するのがジーミンだ。あの顔だもん、当然だ。子供がそのまま老けたみたいな(?だったか)顔してる。

 引きました。引いた引いた。有明海くらい引いた。私のことかと思った。結局これ、きれいな女の人と付き合ってるか、付き合いたいと思ってる男の人全般の映画じゃない。あれ、じゃあこれ男の人の本音ってことかな。この子は、一生、きれいな人と付き合っているか、付き合いたいと思っているか、どっちかなんでしょうか。成熟という名の妥協、妥協という名の成熟はどこに。続きは『恋の紫煙2』にて。