遊園地再生事業団+こまばアゴラ劇場 ワークインプログレス『子どもたちは未来のように笑う』

 ワークインプログレス。なんだろ。9月の本公演に向けて、作業の過程を見せる公演。本公演は、「妊娠」や「いま、子どもを産むということ。」についての芝居のようだ。揃いの白い運動靴をはいた俳優たちが、丸い輪の形に置かれた本を読む。

 石川達三。妊すぐ。三人姉妹の求婚シーン。病院の院長あいさつ。三人姉妹、ナターシャが夫を平手打ち。エリクソン、子供を呪う。山崎哲、子供の成長。かもめ。百年の孤独東京ノート福沢諭吉、養生の心得。乳と卵。佐野洋子唐十郎等、等。男の社会から見た出産なのかと思ったら、すこしだけ女の人も入っている。佐野洋子が、ほかの言葉を吹っ飛ばしてると思った。フェミニスト(たとえばアドリエンヌ・リッチとか)の本が一冊も入ってないのはなぜ?

 演技としては、東京ノートが飛びぬけていた。ナターシャもよかったよ。唐十郎は、戯曲の本質から離れた演出がされていた。

 私には子供がいない。友人たちが突然、「あかちゃんほんぽ」とか「ベビーカー用フック」などの謎の言葉を残し、森に消えてゆく、という印象を、妊娠出産に持っている。女の人が子供を持ちたいと思うのは自然、だけど誰にも産めとか言われたくない。福沢諭吉に静かにしてろともいわれたくない。とか思うのである。

 次に続くエチュード劇は、「らしいですよ」としか言えない夫たちがおかしく、妊娠のもとになるセックスシーンがいじわるで、ちょっと笑った。手足の細い、妖精のような若い女たちが、妊娠と経済で分断されていく。いやぁな感じではあるが、よくできてると思う。でも、なぜか既視感がある。自分で思っていた以上に、私は妊娠のことをたくさん考えていたのかも。

 

 

終演後、青年団の山村崇子、川隅奈保子、端田新菜が、出産と仕事、3月11日のこと、その後の自分について語る。一時青年団に入れあげていた私にとって、この方たちはスターである。どうぞますます舞台で活躍されますように。