劇団スーパー・エキセントリック・シアター 第55回本公演 『カジノ・シティをぶっとばせ!!~丁半コマ揃いました~』

 いろいろびっくりである。まずキャストの配役表がない。誰が誰だかわからない。1000円を超える立派なパンフレットがついているのに。カジノを日本に作るあれやこれ、その候補地の一つ京都の片田舎、梶高校の同窓会のシーンが、冒頭なのにかなりのりが悪い。清水(きよみず)京都市長三宅裕司)の動きもぎこちない。どこか悪いのかな。辛そうに見えた。三宅裕司のぎこちなさがやっとおさまり、芝居がなめらかになるのは、市長(のちに府知事)の友人伏見(小倉久寛)が登場してからである。三宅の目が小さく躍る。うーん。妻の「清水音羽」がすごくおもしろく、「秘書の本願寺」も滑舌がびしっとしているのに、三宅は彼らと本気を出してコントしない。女優が裸体になってもいやらしくないことがあり、その芝居にエロスのない世界の憩いを求めて若い女たちが集まる時代。そんな時代になってますよと言いたい。

 「ミュージカル・アクション・コメディをコンセプトに、社会に警鐘を鳴らし、かつその重厚なテーマを笑いというオブラートに包み、より多くのお客様に伝わる作品を作り続ける」(パンフレット、(株)スーパーエキセントリックシアター代表取締役大関真)。昔々、戦前の軽演劇のころから今に至るまでの流れの中で、こんな風に、弱いものを撃つ芝居ってあったんだろうか。あったんだろうね。そしてやっぱこの(株)っていうのが曲者だよね。お金が流れる=善だもん。ルーツの違うものが悪の手先だったという最終的な形に仰天した。台本吉高寿男。その異質な人々が静かに紛れ込み、不気味な照明に包まれる。演出は三宅裕司だ。

 「日本人は最高の民族だ」(パンフレット、三宅裕司)。そう、でもね、いろんな国のいろんな人が、自国をそう思っていることをお忘れなく。