スーパーエキセントリックガールズ 『華 ~女達よ、散り際までも美しく~』

 光琳の流水模様が階段状に大きく客席に迫ってき、金色の大小の水滴のような紙が貼りこまれ豪奢。舞台中央から小さな花弁がはらり、はらりと散り、黒い舞台に張り巡らされた下へ垂れるたくさんの赤いリボンと相俟ってきれい。

 しかし私はうすいパンフレット「にせんえん」にちょっと驚いていて(役者の来歴がない)、美しいセットにも(あたりまえだ!)と反応するのであった。風が起こしてあり、そっとリボンが揺れる。

 時は戦国、今日秀吉が死んだ。正室おね(河西智美)と側室茶々(Kie)が過去と豊臣の行く末を「笑いながら」語り合っている。時代は変転し続け、仲良く見えたおねと茶々も、敵対せざるを得なくなっていく。

 河西はじめ全員がとても一生懸命やっている。例えば踊りだ。よく揃い、手足が伸び、キレがある。ちょっとAKBや乃木坂を思い出させるけれど、ここまで初日に仕上げてくるのは大変だったと思う。踊りはやればやるほど習熟し、考えなくても体がうごくようになる。だが、芝居はどうか。一生懸命やればいいってものじゃない。「考える」「感じる」ことがとても重要。「懸命にやっているから」でチャラにするとそれが「紙芝居感」につながってしまう。台本も問題。

 おねが茶々に「あの人の子供を産んでくれた」というのだが、その設定にリアリティがない。きっと「あれはあの人の子だろうか」とうっすら思っていたのでは。そういう逆転がいつ来るかとドキドキしたが何もなかった。ガラシャ(立川ユカ子)が恐ろしく嫉妬深い夫を持っていて、どう考えていたかも(神に走っている)、もっと深堀りしなければ女性客の集客は見込めない。女優さんを育てるためなら、地道に続けるもっと小さいスペースでの公演も、出来たはずである。