アマゾンプライム 『嘘八百』

 「女の子」。

 こうやってかぎかっこで括ると、なんか閉じ込められてる感じするよね。この映画の主人公小池則夫(中井貴一)にも「女の子」(森川葵=いまり)がいて、誰にも必要とされていない。この普通の女の子が、ばーん!意外な働きをするのだが、みてて全然すっきりしないのさー。それは多分、演出の(監督の?)「女の子」に対する考え方のせいだと思う。いまり=森川葵は記号や将棋の駒であって、雑に扱われている。高を括られてる。父小池もいまりに何の期待もしてないけど、それ以上に監督が「女の子」に意見がない。映画面白くなるわけないじゃないかー。脚本女のひとだろー。そこ汲まないんだったら意味ないよ。森川葵、脚本を読みこめ。(いや、監督が?)もっとうるさい「女の子」にも、静かな「女の子」にも、荒くれた「女の子」にもできた。「ふつう」の「女の子」の線が細い。

 小池則夫は骨董商だが、ニセモノを掴まされて店も妻も娘の信頼もすべて失った過去がある。骨董を通じて事故みたいに知り合った野田佐輔(佐々木蔵之介)とともに、大手骨董店と有名鑑定家に復讐を図る。

 大作ではないのに、よーく考えたキャスティングがされている。ハンサム率が低い。オッケー。

 バディムービーなのに中井と佐々木の絡みで笑わせるシーンが少ない。中井貴一はいまりと寿司を食べて舞い上がっているとこが一番はじけてて面白い、ってどういうこと?

 佐々木蔵之介は巻いてるマフラーの間に入ってる空気まで男前に見える。しかし、「お父さん」感が薄い。その妻友近学芸員塚地武雅、点描程度なのに頑張っていた。しかし、塚地はもう少し没入できるはず。