アマゾンプライム 『ロケットマン』

 レジー・ドワイト少年はいい耳をしている。いったん聴いた音楽はすぐ再現することができる。母(ブライス・ダラス・ハワード)は彼を愛していない。父(スティーヴン・マッキントッシュ)は家庭に見向きもしない。レジー王立音楽院に進み、ロックンロールに出あう。バンドを組み、やがてヒット曲を出し、大スターエルトン・ジョンタロン・エガートン)となったが、心の傷や秘密(ゲイである)の重みに耐えられず、クスリやアルコールの中毒となっていく。

 エルトン・ジョンのことは知っていたけど、エルトン・ジョンの曲だと認識していたのは一曲のみ、あとはセレブと写真に写って、なにがしかの意見を述べている記事しかみたことなかった。こんなにいい曲たくさん書いてる人だったとはねー。

 パーティでエルトンが知り合うハンサムな黒髪の男ジョン・リード(リチャード・マッデン)の顔を見た途端、この映画の続きが見えてしまってつまらない。あやしい。怪しいやんこの男。災厄をもたらす。不幸を連れてくる。絶対だ。そのせいでそのあとに続くエルトンの苦労も、可哀そうさが薄くなってしまう。この造型まずい。

 成功したある日、エルトンは再婚した父スタンリーの家を訪ねる。ショパールのダイヤつき腕時計をプレゼントするが、スタンリーは感激した様子もなく「はいはい」って感じにさっさと受け取る。弟たちをかわいがっている姿、そしてあくまで自分を受け入れない態度にエルトンはショックを受け、子供のように涙を流す。ここ、かわいそうだったなあ。このおとうさん、鬱?戦争で何かあったの?それすこし暗示してもよかったのに。

 盛りだくさんのエルトン・ジョンの人生を、きゅっとまとめようとした感じだけど、山場がわからん。散漫だよ。