Bunkamuraシアターコクーン COCOON Movie!!芸術監督名作選 『女教師は二度抱かれた』

 夢は檻。夢は無、夢には顔がない。

 動物園の動物たちはのん気で、みているこちらは優越感、と、「舞台と観客」「見られる人と見る人」の関係が語られる。してみるとこの世は檻?いつでも見られる人と見る人がいる。さしずめゲイは見られる人、私たちは見る人ともいえる。そんな2008年。その認識はそろそろやばいよ。400年も見られ続けてきた歌舞伎役者、病院(檻)に入れられている精神病院患者。うーん。話の渦がいまいちくっきりしてなくて、つまらない。

 演劇部顧問の女教師山岸諒子(大竹しのぶ)は、教え子の高校生天久六郎(市川染五郎、現在の松本幸四郎)と関係を持ち、天久がプロの演出家としてデビューしたら、女優として使ってもらうという言質を取る。その日を夢見る諒子。夢は次第に檻となり、諒子はひっそりと夢の中に飼われている。一方天久は歌舞伎役者滝川栗乃介と組んで芝居を打つことになった。新しく大きな稽古場を借り、さあこれからという天久。しかし彼のもとに、かつての約束を大切に胸に抱いて諒子がやって来る。

 冒頭の夢の場で、おばさんの中から山岸諒子が着物を脱ぐようにさらりと現れるところがいい。小劇場の役者阿部サダヲが歌舞伎を演じ、歌舞伎役者の市川染五郎が歌舞伎にかすりもしないというところが大事。しかし、染五郎はそこまで思いつめられなかったようだなー。思いつめないと「全部私がやりました」が軽くなってしまい、膝小僧でお風呂のお湯に作る渦が二つある(もう一つは最終景)ようなこの芝居の肝が浅くなる。大竹しのぶの狂気の人も、2020ならもっとナチュラルだろう。

 松尾スズキ、『ゴーゴーボーイズゴーゴーヘブン』があるのは承知で言うが、『この世の果ての家』のようなゲイの芝居希望。