シアタークリエ 『オトコ・フタリ』

 おおよそ200人の人物を動かして『篤姫』の台本を書き、ヒットさせた田渕久美子だけど、わずか3人の登場人物による2時間弱の『オトコ・フタリ』には手古摺ったようである。大体、この企画、どういうの?ミュージカルスターによる楽しいおまけ的な何かだったのか。ゆるい。ゆるいよ。演出の山田和也の「がんばらないことをがんばる」という、途方もなく難しい課題を、山口祐一郎保坂知寿が、きちんとクリアしているのには感心したが(「がんばらない」と「がんばる」は初めから、全く別のものである)、前半のゆるさはただ事ではない。田渕久美子は整地して家を建て始めるが、そのやり方は注意深く見え、水平な、しっかりした家ができるのかなーと思わせる。ところが、下目板をゆっくり10枚張ったところで、急にどーんと屋根が来る。棟には輝くロマン・ロランの名言、「男は作品を創るが、女は男を創る」。えー。男は創りたくない。作品創りたいよ。(この人ポール・クローデルの親友。きっとクローデルのお姉さんどうなったか知ってるよね)浦井健治は「軽薄」を演技として昇華させられないままなので、台詞がとても薄いのが露見する。山口の演じる画伯が、かなり目まいしてるのに(山口祐一郎、やりすぎ)浦井が見逃す演出もどうかなー。

 一番いいシーンは、大きく手を動かして実際に絵を描く山口のタッチと、そのタッチに寸分の狂いもなく接続して出てくる山口の歌である。この脚本はひとことで言って無理がある。そのため役者の力量がメジャーで測るようにくっきり見える。役者がこの空間を埋め、無理を道理に変換し、充実させる責任を負ってしまってる。それならそれで、3人とも、もっと気合い入れないとだめ。気合いを入れて、芝居を救うのだ。