よみうり大手町ホール 『ダブル・トラブル』ハリウッドチーム

あれっ。そりゃあコロナかもしれないが、客席の真ん中から後ろを見て、3分の2くらいしか入ってないの、おかしいと思う。それくらい面白かった。

 ブロードウェイチームと違うのは、やっぱ勢いだね。お祭りで売ってる四方八方へぴろぴろって舌が飛び出す紙の笛、いわゆる「吹き戻し」っていうんですか、あのすみずみまでぴっと空気が入ってる感じ。踊る手足は長く、主演の二人はアイドルで、素の見せ方に長じており、スマップ以降のジャニーズは、笑いの取り方もきちんと学習している。一日に何回もステージをこなし、体力だって十分だ。兄弟っぽさ、恋人っぽさは出ないけど、なにしろ「見せる」。兄弟それぞれ(兄ジミー・マーティン=福田悠太、弟ボビー・マーティン辰巳雄大)とレベッカ辰巳雄大、福田悠太)のシーンでは、あー籠絡されてる(セックス込みで)と思わされるし、いちいち芝居が大胆である。

 ところが、この芝居のミュージカルナンバーを聴くと、少し怖くなる。声がフラットで、表情がない。全くない。ここ、重要なとこだ。アイドルと俳優の分岐点はここだ。アイドルは表情豊かでなくていい。それはファンがそこに感情を乗せるためだ。一方俳優はいつも自分の声を探している。どうするジャニーズ。岡本健一が女の人の感情移入(いわゆる萌え)をとても避けるのは、「自分はアイドルではない」と今もまだ言わなくてはならないからだろう。辰巳雄大も福田悠太も、この歌唱のフラットさを、どうするつもりかなー。俳優になる?アイドルを続ける?とにかく、他のとこは優れてるのに、歌の単調さには辟易した。っていうかこわいから何とかして。辰巳雄大、落ちてくる写真額を最後は蹴って押しやっていた。正解。でもスカートの扱いもっと品が大切。