配信 パルコ・プロデュース2022 『VAMP SHOW ヴァンプショウ』

 1992年。初演観ました。みんなで女を「まわしちゃうぞ」という表現が凄い嫌だったのと、藤井かほりの事を(これ儲け役だなあ)と思ったなあ。コンパクトで片付いた芝居で、おもしろかった。駅長はこんなに出てこなかった、そして「まわしちゃうぞっていやだね」っていってもだあれもピンときてなかった。

 くだって2022年、これどうなんだろ。波の下に古い価値観が沈んでて、その湖水に浮かぶ水の中の一軒家のよう。女が嫌い、女がコワイ、等々、そればかりじゃ無理があるので、水面下に沈んでいる男の人の隠された部分が、日照りの遺跡の様に浮上してきてる。女の人の無神経があげつらわれていて、無神経を表わす「逃げてくださいに応じない女」(小田巻香=久保田紗友)という設定だけどさあ。ここ、キズに見える。

 久保田紗友は初舞台で、一生懸命だけど、お茶を寸止めするときの位置が分かってないし、全体のなかでの「自分の役」の把握がいまいち。それは脚本に責任があって、この女を無理やり動かそうとしてて、恋人を巡る理由づけもつまらないせい。30年前の芝居であるにもかかわらず、大劇場にかかり、「お話として面白く」観られるのは、今でも「なにか」をまわしちゃう世の中だからかも。

 古い芝居を皆必死で生かそうとする、しかし、演出の演技の味付けも、(特に前半)すこし大仰じゃない?昔風だ。それとどの人もキャパ一杯やってて、必死過ぎる。キャパが大きい人、そうでもない人が一目瞭然で、芝居が揃わずでこぼこしてる。カメラの問題か、各俳優の芝居の味とかがあんまりわからない。塩野瑛久声がダメ、怒鳴らないでほしい。戸塚純貴「犬」の件で、卑屈でおどおどしないと。芝居を引っ張る役だけど、ここが大事。